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肥料の公定規格改定 たい肥との複合肥料が普通肥料に

 8月8日、平成22年4月以来2年ぶりに普通肥料の公定規格等が改正され、9月7日から施行される。今回の改定では新たに3つの肥料が普通肥料として設定された。

 肥料の公定規格とは、肥料取締法に基いて定められた肥料の成分や品質などの基準だ。これを基に検査や登録が行われる。
 このたび普通肥料として新たに設定されたのは、リン酸質肥料として「熔成汚泥灰けい酸りん肥」、複合肥料として「混合動物排せつ物複合肥料」、「混合堆肥複合肥料」(すべて登録後の有効期間は3年)の3種だ。
 「熔成汚泥灰けい酸りん肥」は、下水道の終末処理場から生じる汚泥を焼成したものを原料とする肥料だ。下水汚泥の焼却灰にはリンが最大で3割ほどと高濃度に濃縮されており、下水処理プラントなどを販売する三機工業(株)がこれを肥料として再利用する技術を数年前から研究開発している。ただし生産コストなどの課題があり、「今すぐ商品化する予定はない」という。
 一方、実用化に向けて試験が進められているのが、「混合動物排せつ物複合肥料」、「混合堆肥複合肥料」だ。ともに朝日工業(株)が開発している。
 家畜の排せつ物やたい肥は、品質が多様で厳密な成分表示が難しいため、これまで「特殊肥料」としてしか扱われてこなかったが、朝日工業ではこれらを加熱乾燥し成分含有量を安定させる技術を開発。加熱処理することで雑菌による汚染も防ぐことができる。
 同社では他の有機適合肥料などに比べてコストが安く、また土づくり効果も高い新たな商品として売り出したい考えで、JAグループとも連携しながら25年春肥での発売をめざしている。
 そのほかの主な改正点では、配合肥料に混入できる農薬として、殺菌剤プロベナゾール(商品名「オリゼメート」など)、殺虫剤イミダクロプリド(同「アドマイヤー」など)の2剤が追加された。混入できる最大量はそれぞれ0.07%と0.8%。


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