◆新たな仲間づくりの手段に
開会のあいさつでJA全中の伊藤澄一常務は「全国でJA女性大学を開講、開講予定のJAは4割だが、JAのトップや他部署の理解をもっと高めていく必要がある。これまでJAになじみのなかった地域住民との仲間づくりのきっかけとなって地域を守り、お互いを高めあっていく環境を女性大学の中でつくっていければ」と期待した。
JA全国女性協の瀬良静香会長は「JA女性組織はフレッシュミズの育成に力を入れているが残念なことにメンバーは減少傾向。若い人がJAに関心を持つように促すことが女性組織にとって不可欠で、最終的にJAや女性組織の応援団となるきっかけとして大変意味がある」と述べ、JAが中心となってJA女性大学を開講し、継続してほしいと呼びかけた。
◆「若い女性・地域住民の参画なくしてJAに未来はない」
JA女性大学の重要性について課題提起した家の光協会の板野光雄氏は、(1)若い世代(2)女性(3)地域住民・消費者へのアプローチがJAの将来を決定づけると強調した。
(1)について現在60歳以上の正組合員は7割、准組合員も半数以上であるという現実からJAの10年後の姿を考えると若い世代を結集することがJAにとって喫緊の課題であると指摘。
(2)では農業者の約6割が女性であり、JA店舗や施設の利用も女性の方が男性よりも多いことなどから女性のパワーはJAの事業や活動にとって必要不可欠であるとした。
また、JA女性組織にとってとくに若い人の女性部離れが深刻だが、「フレッシュミズ」があるJAは全国に321JAと半数に満たないことから「フレッシュミズ世代の加入促進はこれからの課題。その手段としてJA女性大学は極めて重要」とした。
(3)については農家数の減少や正・准組合員の逆転という現状から地域住民がJAや地域農業のサポーターとなってもらうことが日本農業を守っていくために重要となるとして、これまでアプローチが弱かったこれらを対象とする女性大学の有効性を述べた。
交流集会ではグループに分かれてJA女性大学開講の企画書づくりを実践したが、JA女性大学の担当職員が抱える悩みとして聞こえてくるのは「開講したくてもトップの理解が得られない」ことや開講していても「担当部署まかせになっている」ことだという。
板野氏はJA全体に女性大学の重要性を共有するための方策をしっかり検討することが重要であるとアドバイスした。
また2日目には「JA女性大学に期待する」として福井県立大学の北川太一教授が講演した。
【実践報告[1]】
協同活動の土壌づくり
JA上伊那(長野)総務企画部組織組合員課・岡野哲也課長
JA上伊那の女性大学は45歳くらいまでとする「フレッシュミズ大学」、45〜65歳の「ミドルミズ大学」、60歳以上の「ナイスミドル講座」と全世代別に開講。フレッシュミズ大学の盛況ぶりがミドルミズやナイスミドルの開講につながった。
フレッシュミズ大学は平成18年に「協同活動の土壌づくり」を目的にJA全体で検討して開講。現在5期目で、第4期からは通常5000円の入校料を組合員は1000円引きとしたことで「毎年10人くらい組合員に加入している」。
また、受講生は講義当日にAコープで買い物するとプレゼントがもらえるという特典もつけた。
昨年からは数名の受講生がカリキュラムの検討に参加しているほか、JAのイベントや市民祭りで踊りを発表するなどJAや地域活動への参加もみせている。
【実践報告[2]】
女性の力はJAの「宣伝部長」
JA雲南(島根)総務部ふれあい課・田邉佐由利課長
平成18年に開講したJA女子大学は現在4期目。
カリキュラム作成のポイントは▽若い女性職員などに相談して若い女性の興味を惹く内容とすること、▽カルチャースクールに終わらないようJA事業との関連を持たせること、▽女性部や担当部署以外の職員に参加してもらう機会をつくることなど。
また、「お客さん」ではなく「自分たちの学校」という意識を持ってもらうため、準備や片付け、受付などを当番性で担当してもらう工夫も。
受講後はOG会を結成したり、講座での学びをきっかけにグループを結成して活動する卒業生もいる。
女子大学の開講は自主的活動グループの育成、JA事業の利用や女性部加入への効果につながっており、とくに女性の「口コミ」の力は地域住民への「JAの宣伝部長」としての役割ともなっている。
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