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「人・農地プラン」 作成済み市町村は2割秋からの話し合いで成果を  農水省

 農林水産省はこのほど9月末現在の「人・農地プラン」の取り組み状況をまとめた。それによるとプランを作成する意向のある市町村のうち、▽集落・地域への説明をおおむね終了しているのは約8割、▽すでにプランを作成した市町村は約2割だという。
 多くの集落・地域では、この秋以降に話し合いが本格化することが期待されている。JAグループも5年後、10年後の地域農業の将来像を描く「地域営農ビジョン策定・実践運動」に取り組んでいるが、「人・農地プラン」の策定と一体で進めることにしている。

◆支援策は継続・改善

 農水省は平成24年度から、地域で将来像を話し合い▽地域農業の中心経営体を誰にするのか、▽そこにどうやって農地を集めていくのか、を軸とした地域農業のあり方を明確化する「人・農地プラン」作成の取り組みを進めている。
 地域農業の人と農地問題の解決のために、支援策として仕組まれているのが▽戸別所得補償制度での農地の受け手に対する規模拡大加算(10a2万円)、▽農地の出し手に対する農地集積協力金(1戸あたり面積に応じて30万円〜70万円)といった農地集積対策と、新規就農を支援する▽青年就農給付金(年間150万円を営農準備期間最大2年、経営開始最大5年給付)、▽法人側に対する支援(研修費として年間120万円を最長2年間交付)がある。人・農地プランに位置づけられればこれらの支援を受けることができる。
 また、この支援策を農水省は継続させていく考えで、25年度予算ではいくつかの改善・強化策を概算要求している。
 人・農地プラン作成にはJAや農業委員会、土地改良区、農業共済組合、普及センターなど関係機関の連携・分担が必要となるが、各地域の合意形成などを進める地域連携推進委員の活動費用などを予算要求している。また、農地集積協力金では樹園地や野菜畑なども対象に追加したほか、農業法人の雇用力強化のために法人職員の研修派遣に対する支援も追加している。

◆プランを決めても見直し可

 農水省のまとめによると、これまでに暫定版のプランを作成、この秋以降も話し合いを続け内容を深めていく地域が多いという。これから新たに取り組む地域では、▽来期に向けた営農座談会や農事組合の総会、▽税申告や米の生産数量目標の配分などに関する説明会など「あるゆる機会を捉えてプラン作成に向けた話し合いを行ってほしい」(農水省経営局)と強調してしている。
 その際、▽地域外から入作者も含めて地域農業にがんばっている人に幅広く声をかける、▽今すぐに農地を預けないにしても、将来、誰に、あるいはどういう組織に地域農業の将来を託すのか話し合ってイメージを共有しておく、▽JA・土地改良区、農業委員会などが一致協力していく、ことなども重要だと呼びかけている。
 人・農地プランは「最初からパーフェクトなプランにする必要はない」もので、新規就農者が新たに出てきた、集落営農を新たに立ち上げる、農地集積に協力する、といった取り組みが出てきたときにプランを見直せばさまざまな支援を受けられる。
 「まずは集落・地域で5年後、10年後はどうするのか、という問いかけをしてほしい」と同プランを担当している農水省の佐々木康雄審議官は強調している。


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