北海道は国内のナタネ主産地で、道央を中心に500haほどの作付がある。
平成23年度の戸別所得補償制度の本格実施により畑作物の交付金が追加されたことなどにより、今後、北海道を中心に作付の拡大が期待されているが、これまで菜種油原料の奨励品種だった「キザキノナタネ」は、十勝地方など寒い地域では収量が安定しないという弱点があった。
同センターが15年かけて選抜育成した「キタノキラメキ」は、寒害・雪害耐性が「かなり強」で、越冬株率が高いのが特徴だ。芽室町の十勝農業試験場での試験では、キザキノナタネの越冬株率が74%だったのに対し、キタノキラメキは85%と1割以上多かった。さらに播種適期を過ぎた遅播きの場合では、キザキノナタネがわずか36%であるのに対し、キタノキラメキは58%と2割以上も多かった。
また、キザキノナタネの含油率は平地で45%だが寒冷地では4割以下に落ちるのに対し、キタノキラメキは45%ほどで変わらないのも大きな特徴だ。
すでに十勝地方では実需者との間で100haの利用許諾契約が結ばれているが、農研機構では「今後、北海道など寒冷地の地域振興や、国産ナタネの新たな需要拡大に貢献できる品種」だとして、さらなる作付拡大を期待している。
(写真は越冬後の様子)
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