シリーズ

私と農業

一覧に戻る

農業は最高級の科学の塊

その4(最終回)

 国内の農薬需要の減少は止められない。業界再編も必至だ。今の国内製薬業界の動きは外資との苛烈な競争、M&Aの進展、ジェネリックの台頭、各社の海外進出と海外企業との連携の本格化などだが、以前から製薬業界の動向は10年後に農薬業界に現れると信じてきた。

 地下のマグマがこの地上に噴き出るのはそう遠いことではない。その時の農薬会社の対応は2つ。大規模化か、差別化か、である。農薬流通もこの暴風雨に身を任せていると溺れてしまうことになる。
 農薬は安全であると言えば言うほど「農薬は恐ろしい」と言われてしまう。「出荷する野菜とは別に農家は自家用を作っているそうだ」と小耳に挟んだこともあるが、いまや生産履歴情報の提供や生協との連携、「地産地消」を掲げる直売所の展開などにより消費者の農薬への理解が深まっている。農家・JAは農薬を減らす努力を宣言し、確実に残留農薬分析結果などの情報提供を行う。これらを黙々と実行していけば、おのずと消費者も理解することになるだろう。急いては事をし損ずる、ということだ。
 最後に、農家の皆さんへのエールを。
 みんなで渡れば怖くない、という時代は終わり、日夜の創意工夫と独創性を常に考え。他人と同じことはせず、社会が今そして今後何を求めるのかを常に考えることが必要だ。農業は最高級の科学の塊であり、未来永劫社会貢献できる産業であると信じきることである。そうすると次の展開が見えてくるはずだ。そのためにはJAにこれまで以上の役割、つまり支援と協同力が不可欠となる。やはり何事も「ヒト」「人材」が鍵を握る。
 最後に故郷「小林市」のPRを。霊峰霧島連山を抱き自然と人情味溢れる町だ。湧水、あまたの温泉、豊富な農畜産物、四季折々の草花がある。是非「癒しの里」を訪れてほしい。

その1その2その3はコチラから)

【著者】小齊平一敏
           クミアイ化学工業(株)前専務取締役

(2009.12.17)