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【JA共済大賞に輝く3JAに聞く】
地域との絆づくり強化で2年連続大賞の快挙

JAあいち豊田

◆推進の基本スタイルに3Q訪問活動 JAあいち豊田本店(愛知県豊田市) JAあい...

◆推進の基本スタイルに3Q訪問活動

JAあいち豊田本店(愛知県豊田市)
JAあいち豊田本店
(愛知県豊田市)

JAあいち豊田は平成14年にJA豊田市、JA三好町、JAよつば、JA下山村が合併して誕生した。
大賞は昨年に引き続いての受賞。奥田克也代表理事組合長は「厳しい環境のなかで、われわれを信頼していただいた契約者の方々に感謝したい。LA、スマイルサポーターをはじめ職員もよくやってくれた。契約をきちんと保全しながらみなさんにきちんと安心を提供できるJAづくりをすることが今のいちばんの思いです」と語る。また、この連続受賞を組合員や役職員とともに共済事業について改めて考えていくきっかけにしたいともいう。
「出資者であり利用者である組合員の協同組合運動がわれわれの原点。共済事業も生活の安全・安心を守るための運動だと思う。こうしたJAの存在意義をいかに認識してもらえるか、大事な時代になってきた」と受賞をJA事業全体への結集力につなげたいと意気込む。
同JAの管内面積は愛知県の5分に1にもなる。「クルマのまち」として全国に知られる市町からなり、都市部から中山間地域まで含む。別掲のように輝かしい実績を挙げたからこその大賞受賞だが、同JAでは中山間地域では人口減少が進み、とくに共済事業の推進は厳しい状況にあるのではという見方もあった。
「ところが、実際は中山間地域が実績を挙げて全体を引っ張る結果に。その背景には、人と人、住民とJAとのきずなの強さがあるからだと分かりました。きずなづくりのために、組合員のニーズを丁寧に汲み上げきちんと情報とサービスを提供してきたと思います」と宇野幸伸常務理事は話す。
清水宏明共済部長は「都市部、山間部で地域事情が異なりひとつの推進方法を押しつけることはできない。ただ、きずなの強化のための3Q訪問活動の重要性を改めて認識した。それぞれの地域で組合員のためになる対応を考えることがきずなづくりの第一歩になる。そのための徹底した研修で知識向上を図ることが大切です」という。

◆LAを中心に一丸となった推進

奥田克也 代表理事組合長
奥田克也
代表理事組合長
梅村正吾 代表理事専務
梅村正吾
代表理事専務
宇野幸伸 常務理事
宇野幸伸
常務理事

19年度の推進体制は一斉推進体制を一部残しつつ、LAと共済クラブ員制度による恒常推進を併用していたが、20年度からはLAと共済クラブ員制度による推進に体制を一本化した。推進はLA68名、共済クラブ員106名、共済準クラブ員300名が行っており、それぞれに目標が設定されている。
共済クラブ員は支店長・渉外担当者・希望者などで構成されており、共済準クラブ員はLAおよび共済クラブ員以外の共済部職員などで構成されている。また、一般職員も情報提供を行っている。
推進の原動力は68名のLAで本所の第1〜第3の普及課にそれぞれ21〜25名が所属。管内12ブロックを3つに分け、各普及課がそれぞれ4ブロックを担当し、1ブロック4〜7名のLAで推進している。各ブロックにLAリーダーを置き目標推進管理などを行う。契約の99.8%はLAが挙げている。
LAは年度当初に1人ひとりが自主目標を定めている。菅沼敏第3普及課長によると「優績LAの全国表彰基準が目標となっている」という。つまり、自分の掲げた目標を達成すれば全国表彰となる。といっても、生命、建更、年金、自動車共済、そしてニューパートナーづくりとバランスよく目標を設定しそれをクリアしなければならない。
それでも「全国表彰へ」の合い言葉が浸透し、18年度の優績表彰者は11人だったのが、19年度は23人、20年度は43人と倍増ペース。「身近に受賞者がいればモチベーションも高まる。全国表彰を目標にしてがんばるという風潮になっている」(菅沼課長)という。
推進の全体目標は12月までの早期推進だ。そのため4月のスタートダッシュキャンペーンから始まり、生命・建更や年金キャンペーン、パート職員も含め役職員向けに展開する保障見直しキャンペーン、そして目標期限の12月直前の特別推進キャンペーンなど「7月以外はキャンペーンのない月はない」と手嶋浩二共済企画課長は話す。
キャンペーンの実施にも工夫を凝らす。期間中の成績をブロック単位で順位づけしたり、LAがペアを組んで重点的な推進を行うなどだ。
そのほかスマイルサポーター・キャンペーンを行い、自動車共済の推進に力を入れている。スマイルサポーターにも自動車共済の早期継続とグレードアップ、さらにJA共済への切替などの新契約を努力目標とし、少人数の研修会などで知識習得とスキルアップを図ってきた。自動車共済はニューパートナー獲得の入り口となるとJAでは位置づけている。「スマイルサポーターに自信も出てきた」(手嶋課長)という。

◆組合員が必要とする事業スタイルを

未曾有とも言われる経済危機が襲うなか「クルマのまち」のJA管内は厳しい状況に直面している。そんななかでも元気を出そうとこの3月、市と商工会議所、そしてJAが先頭に立って「とよた元気プロジェクト」を立ち上げた。
梅村正吾専務によると「農産物も車も地産地消を」と地域住民に呼びかけたのだという。同プロジェクトでは今年9月までさまざまなイベントを行う予定でJAも参画していく。
「市、商工会議所との連携はとても意義が大きい。JAの存在を広く市民に知ってもらうことはいずれはJAの事業への理解につながる」と梅村専務は話す。
まさに地域住民とのきずなづくりのきっかけになる取り組みでもある。その意味でも現在推進している3Q訪問活動が「きめ細かな組合員サービスをどう提供できるか」の試金石になると考えている。
今後のJAの課題について奥田組合長はこう話す。
「JA事業の原点は、組合員に必要とされるJAであることであり、共済事業の原点は顔と顔のつながりによる信頼関係。今後も新しい世代のニーズもしっかりふまえた農協組織をつくり、組合員に選ばれるJAになっていきたい」。

JAの概要(平成20年度末現在)

●地域の特徴:都市・中山間地混在地帯
●組合員数(正+准):3万418人
●職員数:704人
●推進形態:LA・共済クラブ員・共済準クラブ員による恒常推進(共済担当職員数106名、うちLA68名)
●共済事業実績:○保有契約高11万9431件/1兆6343億円○生命共済新契約高6290件/791億円○建物更生共済新契約高4713件/794億円○自動車共済新契約高3万9268件/17億3367万円○自賠責共済新契約高1万5324件/2億8627万円
●信用事業:貯金5693億円/貸付金1425億円
●購買事業:150億円
●販売事業:33億円
●おもな農産物:米、モモ、ナシ、お茶、洋ラン、菊、自然薯

(2009.05.18)