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新たな協同の創造とJA共済事業
JA共済事業特集

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【JA共済大賞に輝く3JAに聞く】
JAの総合力の発揮で生活の安全・安心保障に輝かしい実績

JAあいち知多

 平成20年度のJA共済大賞に輝いた3JAはいずれも、共済事業の原点である相互扶助の精神を事業の基礎に置き、組合員・利用者との絆づくりで実績を挙げている。また、環境変化を的確に把握するための人材育成と柔軟で戦略的な推進組織づくりにも力を入れているのも特徴だ。いずれのJAでも「3Q訪問活動は共済事業のみならずJAのベースになる取り組み」ととらえており、そこに今後のJA共済事業の道が示されてもいる。

3Q訪問活動はJAの強み発揮する基本活動
JAあいち知多

◆原点回帰と新たな挑戦

JAあいち知多総合本部ビル(愛知県常滑市)
JAあいち知多総合本部ビル
(愛知県常滑市)

JAあいち知多は平成12年4月に知多半島の3JA(知多、東知多、西知多)が合併、今年は合併から10年目となる。
平成12年度にJA共済特別表彰を受賞しているが大賞は初めて。節目の年の受賞に平野重良代表理事組合長は「原点回帰と新たな挑戦をメインテーマに掲げ、とくに組合員・利用者のCS向上を役職員の行動の原点と位置づけた。その取り組みの成果だと思います」と喜びを語る。
“原点回帰と新たな挑戦”は19年度からの第3次中期経営計画で掲げた。このメインテーマのもと「いつもくらしのまん中に。地域No.1の存在をめざして」を計画推進の理念とした。この理念実現のための共済事業の指針は「量から質への転換」だ。
「合併直後から保障点検活動に取り組んできたが必ずしも十分ではなかった。そこで中期計画では改めて組合員・利用者のニーズ、ウォンツを満たすことを行動の“原点”に。
こうしたCS向上活動に3Q訪問活動がうまくかみ合った」と中北春彦専務は話す。
JAでは3Q訪問活動を形式的な活動にしないため「緻密で具体的な保障点検」を含めた活動とした。 「組合員・利用者の家庭には毎年変化がある。誕生、進学、就職など家族の変化を把握、共済事業として対応できているかを考える。これが環境変化に対応するということ」(中北専務)という。
20年度の3Q訪問活動の実績は5万3000戸。
金融・共済担当の鈴木英則常務は「ただ単に共済推進するのではなく、情報提供と提案をする。訪問先からもニーズや情報をもらう。その積み重ねによって職員の意識改革が進み資質も高まっていく。要は組合員が満足するキャッチボールをいかにできるかだと思います」と語る。
今年度は3Q訪問活動の「定着・浸透、標準化」を目標に掲げる。

◆ボトムアップで体制整備

平野重良 代表理事組合長
平野重良
代表理事組合長
中北春彦 代表理事専務
中北春彦
代表理事専務

共済担当職員は260名。LA(ライフアドバイザー)は150名で、うち77名が共済専任型LA、73名は金融渉外も兼ねる金融専任型LA。こうしたスタッフによる恒常推進体制をとる。年度目標は共済専任型LAが18〜21億円、金融専任型LAが5〜8億円となっている。
LAは支店に配属され、本店も含め10の基幹支店に配置されたマネージャーがLAの指導・管理にあたる。
また、組合員・利用者の変化を的確に捉えて推進を図るため、情報提供制度も導入。支店長、共済マネージャーとLA以外の職員は全員をサポート職員と位置づけ、情報提供目標も掲げて実績に結びつける体制をとっている。
共済窓口担当者=スマイルサポーターの役割も重要になっているが、同JAではスマイルサポーターの支援など事務体制の強化のため、20年度から共済部事務指導課を設置した。
窓口での問い合わせに的確に対応できる知識の習得だけでなく、たとえば自動車共済の保障見直し提案書の作成など、研修会を開催してスキルアップを図っている。
「研修会には毎回多くの若手女性職員が参加します。業務後の自主研修会も職員からの希望で開くほど。今まで窓口は守り、という意識でしたが自動車共済では早期継続とグレードアップを合い言葉に、攻めの姿勢に。それが実績にも表れました」と井尾浩美課長は話す。
「CSの原点はES。職員が業務に満足しなければ組合員・利用者に満足を与えられない。私は使命とは命を使うことだと言っている。その使命をどう果たすか、みんなで考えていこういう姿勢がボトムアップによる推進体制づくりにつながった」と語るのは青山康秀共済部長だ。
青山部長の言う“ボトムアップ”による体制づくりを実現したのが、常勤役員が現場の声を聞く「アグリスCAC(Communication And Create)活動」である。この活動で常勤役員は年間に100を超える現場を訪問するが、その場に必ず同行するのが、ポジティブアクション推進担当者である。管内を3ブロック(北部、中部、南部)に分け、女性職員3名が担当している。
「掲げた理念が上滑りしないよう現場で実践可能な仕組みづくりが必要と考えた。そのためタテ割りの部・課での話し合いだけではなく、課題解決のための部門横断的な“横串”の部署として位置づけています」と中北専務。
この活動から生まれたのが事務指導課であり、さらに今年度からは支店の共済マネージャーの下にLA課長を設置することなったがこれもCAC活動の成果だ。
「今年度からは目標をLAが自分で積み上げることに。能力、経験、担当する地域性などはそれぞれ異なることから一律基準ではなく個々のLAの考えを重視した目標設定とした。その一方で目標管理、支援・指導などの役割を果たすLA課長が必要だという認識を役職員がCACで共有したということです」と江本和樹課長は話す。

◆CS向上はJAのベース

共済事業に限らずCS向上はJA事業のベースだと考え20年度にはCS推進室を設置した。
研修に力を入れ、東京ディズニーランドに「最前線のおもてなし」を学びに出向くなどLAのモチベーションを高める活動を重視している。また、組合員・利用者に手づくりの「感謝ポストカード」を届ける活動や、職員どうしで感謝の心を伝え合う「感謝カード」なども同室が推進してきた。
社会貢献活動にも積極的で中日ドラゴンズ選手による少年野球教室やサッカー教室などの開催、また、母子生活支援施設へのボランティア活動も行っている。
「子どもたちとの触れあいのなかで“保障”の意義を考える。地域貢献という、やりがい活動を通じてバランスのとれた事業活動にしていくことが大事」と中北専務は話す。
「厳しい時代になっても、地域に必要なJAをめざす原点は変わらない。そのための努力は惜しまないという基本にブレのない取り組みを続けていきたい」と平野組合長は話している。

JAの概要(平成20年度末現在)

●地域の特徴:都市近郊
●組合員数(正+准):6万2333人
●職員数:1343人(内正職員914人)
●推進形態:LAを中心とした恒常推進[共済担当職員数260名、うちLA150名、(うち共済専任77名)]
●共済事業実績:○保有契約高15万7212件/2兆1485億円○生命共済新契約高8861件/1183億円○建物更生共済新契約高6565件/1029億円○自動車共済新契約4万6236件/18億2875万円○自賠責共済新契約2万4464台/4億3991万円
●信用事業:貯金9024億円、貸付金1933億円
●購買事業:96億円
●販売事業:94億円
●おもな農産物:ぶどう、たまねぎ(ペコロス)、ふき、デンマークカクタス、菊

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(2009.05.18)