安保法に賛成した衆議院議員たち2016年8月22日
終戦記念日が過ぎて、秋の国会が来月から始まろうとしている。
こんどの開会中に、政府は、いよいよ安保法に基づいて自衛隊を海外へ派遣するかもしれない。日本の軍隊が外国へ行って、人を殺し、人に殺されるかもしれない。この71年の間なかったことだ。
71年の間つづいた平和主義を捨てたのは誰か。それは、国権の最高機関である国会の議員たちである。
いったい、国会議員のうちの誰が平和主義を捨てることに賛成したのか。誰が青年を戦場に立たせることに賛成したのか。そして、それに対して誰が反対したのか。
上の2つの図は、東京新聞が独自に取材して発表したものである。
この安保法案の採決は起立採決で、公式な議事録には「起立多数」という記録しかない。それを東京新聞が丹念に取材して、賛成者と反対者の氏名を発表した。
ここで、はじめに言っておきたいことがある。それはマスコミの社会的責務についである。
先日の参院選で、多くのマスコミは、若い新有権者に対して候補者について、よく勉強して投票せよ、と説教していた。しかし、そんな説教をするまえに、この東京新聞のように、各候補者が国会でどんな法律を作ったか、という基本的事実を示す責任がある。国会議員は法律をつくることが主な仕事なのだから。
◇
本題へ戻ろう。
上の図は、衆議院で誰が安保法に賛成し、誰が反対したかを示したものである。衆議院に注目したのは、次の国政選挙は衆議院の選挙だからである。
早ければ今年中に行われるという憶測もある。国民は、この図を重要な参考資料にして、衆院選にのぞむだろう。
◇
図をみると、小選挙区と比例区から選出された議員、つまり衆議院議員全体では、賛成者は326人で、反対者は147人だった。つまり、3分の2をはるかに超える多数の賛成で安保法が成立したことになる。
しかし、小選挙区と比例区に分けてみると、様相は一変する。
小選挙区から選出された議員は賛成者が圧倒的に多い。反対者の4倍に近い。それに対して、比例区で選出された議員は、賛成者と反対者が拮抗している。
これは、いったい何を意味するか。
◇
比例区は、国民の意志を忠実に反映する。しかし、小選挙区は「死に票」が多く、国民の意志を歪める。だから小選挙区選出の議員に賛成者が圧倒的に多かったことは、国民の意志とはかけ離れている。比例区選出の議員の賛否が拮抗したことが国民の意志である。
しかも、小選挙区制は党中央部の統制が強く、与党は党議拘束で、議員に賛成を強制する。
それに対抗するには、野党が選挙協力して、反対議員を増やすしかない。それは、国会の歪みを正すことになる。
野党協力を多くの国民が支持すれば、戦後に勝ち取った平和主義の輝かしい旗を、再び高く掲げることができるだろう。
◇
最後に言っておきたいことがある。それはTPPである。
この欄では、次の国会で重要議題になるTPPの審議過程を、具体的に詳しく伝えるだろう。誰がTPPに賛成しているか。そして、日本農業を壊滅の方向に向けようとしているか。それに対して、誰が反対しているか。
それは、次の衆院選での最重要な参考資料になるだろう。
(2016.08.22)
東京新聞の資料は ココ
(前回 政党のメルトダウン)
(前々回 次の総選挙は野党の選挙協力で与野党逆転か)
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