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民進党の土壇場2017年8月28日

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【森島 賢】

 民進党の代表選が、今週の金曜日に行われる。選挙の結果、党内の結束を固められるだろうか。もしも、形だけの結束なら、国民は落胆するだろう。野党第1党だから関心は強い。
 もともと民進党は、意見が違う政治家たちの寄り合い所帯である。政治家として生き残るための選挙互助会ともいわれている。そのことを批判するつもりはない。
 現実の政治家は、小異を捨てて大同につかねばならぬ。そうして、自分の政策を多くの賛同者とともに実現せねばならぬ。ここのところが、ことに、いまの民進党には見えない。この点を批判したい。
 いったい民進党は、誰がその政策に賛同し、支持することを期待しているのか。つまり、誰のための大同か。農業者など国民の大多数の弱者のための党ではないのか。

茨城知事選の結果

 はじめに、上の図で昨日の茨城知事選の結果を見ておこう。
 自公が共同で推薦し、全力投球で応援した大井川和彦候補が、ようやく当選した。しかも、過半数の得票で当選したわけではない。非自公の得票数のほうが多かった。
 このことは、もしも民進党が中心になって、非自公の統一候補を立てれば勝ったことになる。いまの政治状況を、よく表している。
 さて、本題に戻ろう。

 大同とは、いうまでもなく基本政策のことである。ここでは、基本政策の象徴ともいえる原発政策を取り上げよう。蓮舫代表が辞任した契機は、ここにあったようだ。
 いまの民進党の原発政策は、30年代に原発をなくす、というものである。いったい、なぜそこまで待たねばならぬのか。もっと早められぬのか。
 待つか、それとも早めるか。民進党が弱者のための政党だ、といいたいのなら、その判断の基準は、それが弱者のための政策なのかどうか、という基準でなければならぬ。この基本姿勢は譲れないはずだ。
 しかし、この姿勢が揺らいでいる。これでは、弱者の党とはいえない。

 マスコミ各社の世論調査にみられる民進党の支持率低迷の原因は、こうした揺らいだ姿勢にある。政府の失政という事態のなかでの、野党第1党の低迷である。この機会を逃がせば、当分の間、再起はおぼつかない。自民党もだめだが、民進党もだめだ、という状況がいつまでも続く。
 与党は、民進党の支持率が低迷している間に、早期に解散してしまえ、という雰囲気があるという。いまや、民進党はその存否を賭けた土壇場に立っている。

 民進党のあいまいな原発政策の裏には、周知のように連合労組がある。有力労組の電力総連の意向を忖度して、連合が、民主党に圧力をかけている。それに民進党が屈している。これでいいのか。
 いったい、連合は労働者という弱者の集まりなのか。本来はそうあるべきだが、実際はそうではない。弱者の集まりなら、原発の苦しみ中にある福島の農業者などの弱者の苦悩が分るはずだ。原発が汚いことも分るはずだ。だが、原発に正面から向き合おうとしない。むしろ強者の立場に立って、原発をなくす時期をおくらせようとしている。そして、そうした連合に民進党が怯えている。

 連合は、それほど強力な集団か。そうではない。傘下の労働者は686万人しかいない。農協組合員の1014万人と比べて、はるかに少ない。そして、いまや労働者の代表として処遇されていない。それほどに弱小な集団になり下がってしまった。
 だから、連合だけを頼りにしていたのでは、民進党は、つぎの選挙で勝てないだろう。勝つためには、どうするか。

 つぎの選挙で民進党が勝つためには、弱者のための党に立ちかえることである。そして弱者のための政策を基本政策にして揺れないことである。
 そうなると、いまや弱者と対立する連合からの反対圧力がかかるだろう。そのときにも揺れないことである。
 そうして、弱者の立場に立つ他の政党との選挙協力を進め、さらに与党の中にいる賛同者との連帯も視野にいれることだ。そうすれば、つぎの選挙に勝てるだろう。
 自民党は、支持率低落のなかで、小池新党に怯えている。公明党との協力関係には不協和音が聞こえる。民進党にとって、いまは好機なのだ。
 くり返して強調しよう。民進党は、弱者のための基本政策を堅持することである。国民の大多数の弱者は、そうした新しい代表の誕生に期待している。

 最後に、民進党の対話路線について、つけ加えておこう。
 弱者は、民進党に対して、強者に正面から対峙することを期待している。強者のための政策に対して、少しばかり弱者にとって有利な修正案を出す、などという姑息な対案路線はだめだ。それでは、強者の思うつぼにはまる。自民党のなかの民進派と揶揄されるだけだ。
 弱者と強者との間の格差を考えるとき、いったん強者に有利な分配を容認したあとで、再配分して格差を少しばかり縮める、などという対案を弱者は支持しない。そうではなくて、おおもとの分配における格差を縮める政策を要求している。
 それは、労働法制の改悪に反対し、また、最低賃金を大幅に増やすことを基本政策に据えて、揺るがぬことである。それは、非正規雇用という低賃金労働を根絶する政策である。
(2017.08.29)

(前回 吉本隆明のドグマ的な日本農業論

(前々回 加計問題追及の目的は一強政治の打破

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