天下分け目の衆議院補選2017年9月11日
天下分け目の決戦になる衆議院の補欠選挙が、40日後に迫った。この選挙の結果で、日本の政治状況は大きく変わるだろう。そして、しばらくの間、その状況が続くだろう。
勝敗のカギは、野党の選挙協力の成否にある。そして、それは、野党第1党の民進党が握っている。民進党にとって正念場といっていい。
選挙は、3つの選挙区で行われる。民進党の全勝になれば、自民党に亀裂が走るだろう。逆に、全敗になれば、民進党は分裂の危機に襲われるだろう。つぎの総選挙で勝てる見込みがなくなるからである。いずれにしても、政界再編が始まるに違いない。
ツバ競り合いは、すでに始まっている。状況をみてみよう。
上の図は、補選が行われる3選挙区について、前回の総選挙の結果を、候補者の所属政党別にみた得票率である。3選挙区とも、野党の得票数を単純に足し算したのでは、自民党の得票数に足りなかったことが分かる。
自民党の得票の中には公明党の投票も入っている。だから、自民党が勝ったのは、自公の選挙協力によるものである。その結果、野党が与党に完敗した。
こんどの補選で民進党が勝つためには、与党にならって、野党も選挙協力をすることが欠かせない。
◇
民進党は、安閑としてはいられない。他党の候補が降りるなら歓迎だ、とかいう消極的な態度ではだめだ。それでは、野党の得票数は、せいぜい前回の得票数の足し算にしかならない。つまり全敗は確実だ。
1つの選挙区でもいい、2つの選挙区でもいいから勝ってもらいたいと期待する弱者は多い。そうすれば、1強多弱の政治状況は大きく変わる。
◇
前原誠司新代表のように、理念と基本政策で一致しなければ、選挙協力はできない、などといっていれば、足し算さえもできない。もちろん全敗だ。
理念と基本政策に殉じて死をまつ、というのだろうが、思想家なら称賛する人がいるかもしれない。しかし、政治家としては無責任という誹りを免れない。
◇
選挙協力は、当選した候補者の任期中に実行できる具体的な政策で一致すればいいのだ。それを積極的に進めればいい。しかも急ぐ。
野党第1党の民進党が中心になって、選挙協力の協議を進めるのが筋だろう。いまからでも遅くない。そうすれば、足し算したよりも得票が増える。全勝の可能性は充分にある。問題は、それを民進党が積極的に行うかどうかだ。
◇
民進党の一部の保守派には、自民党や公明党にくいこみ、また、小池百合子都知事の新党との協力を主張する人がいる。
もしも、それが成立すれば、今後、いったいどの政党が経済的弱者である農業者、労働者、中小企業者の利害を代表するのか。
民進党は、1%の強者のための政党に堕ちるのか、それとも99%の弱者のための政党にとどまるのか。そうした土壇場に立つ補選になるだろう。
そして、結局のところ、民進党が4野党の選挙協力の中心になって、ことに地方組織を拠点にして、いまの強者のための政治を、弱者のための政治に変えるだろう。
◇
最後に、フランスの反ナチス運動の詩人ルイ・アラゴンの詩の一部を、4野党の選挙協力に消極的な新代表に紹介しておこう。
神を信じた人も
神を信じなかった人も
・・・・・・・・・・・・・・・
協同のたたかいの中で
たがいに争うのは愚かなこと
・・・・・・・・・・・・・・・
神を信じるか、信じないか、つまり宗教は、新代表がいう理念の中心部分にある。フランスでは、その違いを乗り越えて、輝かしい反ナチス運動を勝ちぬいたのである。
関東大震災のときの朝鮮人虐殺の歴史的事実を認めようとしない知事も、この詩を熟読してもらいたい。
(2017.09.11)
(前回 民進党は地方組織を強化せよ)
(前々回 民進党の土壇場)
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