日本国溶融の危機2018年3月13日
政府は、森友問題で、とうとうウソを認めた。財務省が、森友問題で、安倍晋三首相夫人の昭恵氏の関与が記されている公文書を改竄したことを認めた。多くのマスコミは、民主主義の危機だというが、それは、むしろ生やさしい。
安倍首相は、昨年の国会で、私や妻が関係したなら、国会議員を辞める、と言った。
「綸言汗の如し」というのは、民主主義以前の君主制の時代からの言葉である。権力者がいったん言えば、ちょうど汗のように皮膚の中に引っ込めることはできない、という意味である。
安倍首相は、君主ではないが、政治の最高責任者である。いったいどうするのだろうか。前言をひるがえして、首相の座に居座るのだろうか。
居座ることになれば、民主主義の危機どころか、統一国家でさえもなくなる。日本国の、国家としての溶融になるだろう。昔の怨歌の一節ではないが、「♪♪ ここは東京、ウソの街 ♪♪」になってしまう。
昨年の2月17日の衆議院予算委員会の議事録をみると、安倍首相は「私や妻が・・・森友問題で・・・認可あるいは国有地払下げに、もちろん事務所も含めて・・・もしかかわっていたのであれば・・・総理大臣をやめる・・・」と明言している。
さらに、その数分後「私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい。」と再度明言している。
◇
これは、首相の政治生命を賭けた発言である。ウソを隠し通すために政治生命を賭けるという覚悟の発言である。そしてこの発言は、予算委員に向けた発言というよりも、首相を支える人たち、ことに官僚たちに向けた、悲壮な発言である。
忠実な官僚たちは、そのことを分かっている。だから、森友学園と首相や首相夫人との関係を隠さねばならなくなる。それができなければ、首相の政治生命を絶つことになる。公文書の隠蔽と改竄の原因は、ここにある。
◇
財務省は、改竄は理財局の指示によるものだという。責任は、当時の局長の佐川宣寿氏にあるという。局長の国会での答弁に合わせて文書を書きかえた、と平然という。だが、それは逆さまである。公文書に合わせて答弁を訂正すべきだったのだ。
しかし、そんな内輪もめは聞きたくない。
昨年起きた、自衛隊の南スーダンでの日報隠し問題のときは、稲田朋美大臣の辞任で済まされた。しかし、こんどはそうはいかない。麻生太郎大臣の辞任だけでは済まされない。
原因を作ったのは首相である。首相の進退を聞きたい。
◇
ここで浮き彫りになったのは、首相の驕りと、それに諫言できない与党の政治家と官僚組織の劣化である。
農政問題でも、それが随所にある。首相官邸の近くの規制改革推進会議にいて、現場の実態を知らない人たちによる農政の簒奪である。
それに対して、現場を熟知している農林族の政治家や農林官僚が諫言しない。
◇
もう1つ言いたい。
野党6党の連携は見事である。しかし、これは国会内での連携に終わっているようにみえる。国会外での反対運動は、どうなっているのか。
TVなどで見るかぎり、国会を取り巻く抗議集会のなかに、労働組合や学生自治会の旗が見えない。ひと昔前だったら、そうした旗が林立してひるがえり、政府を震撼させただろう。
野党連携は、国会外の労組や自治会の組織的な運動と連帯することで、より力強いものになるのだろう。期待したい。
(2018.03.13)
(前回 私利私欲に基づく妄想の農業・農協攻撃)
(前々回 裁量労働制の破綻)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 高知県2024年7月16日
-
【注意報】イネカメムシ 県内全域で多発のおそれ 鳥取県2024年7月16日
-
30年目を迎えたパルシステムの予約登録米【熊野孝文・米マーケット情報】2024年7月16日
-
JA全農、ジェトロ、JFOODOが連携協定 日本産農畜産物の輸出拡大を推進2024年7月16日
-
「雨にも負けず塩にも負けず」環境変動に強いイネを開発 島根大学・赤間一仁教授インタビュー2024年7月16日
-
藤原紀香がMC 新番組「紀香とゆる飲み」YouTubeで配信開始 JAタウン2024年7月16日
-
身の回りの国産大豆商品に注目「国産大豆商品発見コンクール」開催 JA全農2024年7月16日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」鹿児島県で黒酢料理を堪能 JAタウン2024年7月16日
-
【役員人事】ジェイエイフーズおおいた(6月25日付)2024年7月16日
-
【人事異動】ジェイエイフーズおおいた(4月1日付)2024年7月16日
-
日清食品とJA全農「サプライチェーンイノベーション大賞」で優秀賞2024年7月16日
-
自然派Style ミルクの味わいがひろがる「にくきゅうアイスバー」新登場 コープ自然派2024年7月16日
-
熊本県にコメリパワー「山鹿店」28日に新規開店2024年7月16日
-
「いわて農業未来プロジェクト」岩手県産ブランドキャベツ「いわて春みどり」を支援開始2024年7月16日
-
北海道で農業×アルバイト×観光「農WORK(ノウワク)トリップ」開設2024年7月16日
-
水田用除草ロボット「SV01-2025」受注開始 ソルトフラッツ2024年7月16日
-
元気な地域づくりを目指す団体を資金面で応援 助成総額400万円 パルシステム神奈川2024年7月16日
-
環境と未来を学べる体験型イベント 小平と池袋で開催 生活クラブ2024年7月16日
-
ポーランドからの家きん肉等の一時輸入停止を解除 農水省2024年7月16日
-
JAタウンのショップ「ホクレン」北海道産メロンが当たる「野菜BOX」発売2024年7月16日