担い手や法人向けの新たな保障・サービスを開始 JA共済連・共栄火災2016年1月26日
JA共済連と共栄火災海上保険は、4月から農業者を対象とした新たな保障・サービスを展開することにした。
農業経営の大規模化や法人化、6次産業化など、農業構造の変化に伴って、農業者・法人を取巻く経営リスクは、従業員の雇用、出荷した農産物や加工品の回収など、かつてよりも増大・多様化してきている。
こうした情勢を背景に、JA共済連と共栄火災はJA共済グループとして、JAの組合員・農業者に「安心して農業経営に専念し、安定的な事業・生活基盤を築いて」もらうよう、担い手や生産法人などを主たる対象とした「農業者向けの新たな保障・サービス」を4月から開始する。これは、従来からの「ひと・いえ・くるま」の総合保障という個人分野から、農業分野へ共済範囲を広げることでもある。
◆担い手に対応した新たな保障
「新たな保障」としては、「農業応援隊」(農業者向けパッケージ保障)と、JA共済連「海外PL(海外生産物賠償責任)」保障制度の2つだ。いずれもJA共済連と共栄火災による開発だが、共栄火災(引受保険会社)の保険商品として取扱われる。
▽リスクを包括的に保障する「農業応援隊」
大規模化や法人化、6次産業化にによるリスクを包括的に保障するもので、表1の賠償責任、回収、経営管理の3分野の保障から必要なものを選択して包括的に加入することができる「パッケージ保障」となっている。
保障内容は、すでに個別には存在しているものを中心に、食品表示の誤表示(アレルギーなど)による回収のように従来はなかった保障を取り入れることで、さまざまなリスクに対応して包括的に備えることができるので、すでに契約されている保障があれば、それを除いて必要と考えられる保障に加入すればいいことになる。
また、必要な保障をまとめて(パッケージ化して)1つの申込書で加入することができるので、契約手続時の書類や項目が少なくなり、簡便な手続きで加入することができるのも魅力だといえる。
共栄火災には「農業者損害賠償責任保険」があるが、これは「兼業農家など個人向け」であり、今回の「農業応援隊」は大規模農家や生産法人など担い手向けのものだという。
▽農産物輸出を支援する「海外PL」保障制度
これは農産物輸出促進を支援するJA共済連の団体募集制度だ。
加工品を含めた農産物輸出が促進されているが、JAを通じて海外に輸出されたときに、食中毒や異物混入などの賠償事故が発生した場合、JAだけではなくJAに出荷した農業者にも海外の消費者から損害賠償金請求や訴訟提起を受ける可能性がある。そのようなリスクに備えて、農業者が個別に賠償責任保険に加入しているが、個々の農業者が出荷する農産物などは少額・小ロットであることが多く、そのため保険料が割高になっている。
今回の「海外PL」は、JAを通じて海外に農産物を輸出した農業者が、個々に割高な保険料負担をすることなく、「安心して農産物輸出事業に挑戦できる」ように「JAと農業者を一体的に保障できる制度」として構築されている。
そのため、JAがこの制度に加入することによって、JAおよび農業者が被る可能性のある賠償責任リスクが包括的に補償される。さらに全国のJAや農業者のリスクを集約することで、JAや農業者が単体で保険加入するより「低廉な保険料負担で保障が可能となる」というのが、大きな特長だといえる。
この保障制度によって「JAが農業者を守ることができ、JAへ安心して出荷してもらえるようになる」ことをJA共済連では期待している。
保障内容は表2の通り。
◆リスクの診断と情報提供
新たな保障を提供するにあたり、JA共済連では、「農業リスク診断活動」の展開と「農業者へのお役立ち情報サイト」の開設という2つの新たなサービス提供を行っていくことにしている。
「農業リスク診断活動」は、担い手などを取巻くリスクの増大化・多様化に対応して、これらのリスクの「見える化」を図るとともに、それらへの対策を提案していこうというものだ。
具体的には、JAが主体となり、担い手や生産法人などに農作業中のケガや出荷した農産物の回収などさまざまなリスクに対する説明を行うとともに、そのリスクへの対応状況を診断。対策が必要な農業リスクが確認できた場合には、これまでのJA共済仕組や共栄火災商品に加えて、新たな保障である「農業応援隊」によるリスクへの備えを提案していくというものだ。
また、この活動にあたっては、JAグループが実施している「担い手サポートセンター」と連携していくことにしている。
もう一つの新たなサービスである「農業者へのお役立ち情報サイト」は、
(1)農業経営を取り巻くリスクに対する保障の案内として、▽農業リスク診断活動、▽JA共済の共済仕組みおよび共栄火災の取組み案内
(2)異常気象に関する各種情報として、▽農作物ごとの技術対策、▽気象事象ごとの技術対策、▽病害虫防除に関する情報
(3)農産物輸出に関する各種情報の案内として、▽農林水産物・食品の輸出についてのヒント集、▽日本からの輸出に関する各国・地域の制度
を提供する。(2)と(3)は、バラバラにある既存情報にリンクすることで、使いやすいサイトにしようという試みだ。
4月からJA共済のホームページのトップページから「農業者へのお役立ち情報サイト」へ遷移するようになる。
(関連記事)
・書道・交通安全ポスターコン入賞者決まる JA共済 (15.12.25)
・利用者満足につながる共済事務を 「共済事務インストラクター全国交流集会」 (15.11.06)
・九州地区業務センター10月に開所 JA共済連 (15.09.16)
・自動車共済を一本化 わかりやすい仕組みに JA共済連 (15.08.25)
・農業リスクコンサルティング 10月から試行-JA共済連 (15.08.04)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(139)-改正食料・農業・農村基本法(25)-2025年4月26日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(56)【防除学習帖】第295回2025年4月26日
-
農薬の正しい使い方(29)【今さら聞けない営農情報】第295回2025年4月26日
-
1人当たり精米消費、3月は微減 家庭内消費堅調も「中食」減少 米穀機構2025年4月25日
-
【JA人事】JAサロマ(北海道)櫛部文治組合長を再任(4月18日)2025年4月25日
-
静岡県菊川市でビオトープ「クミカ レフュジア菊川」の落成式開く 里山再生で希少動植物の"待避地"へ クミアイ化学工業2025年4月25日
-
25年産コシヒカリ 概算金で最低保証「2.2万円」 JA福井県2025年4月25日
-
(432)認証制度のとらえ方【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年4月25日
-
【'25新組合長に聞く】JA新ひたち野(茨城) 矢口博之氏(4/19就任) 「小美玉の恵み」ブランドに2025年4月25日
-
水稲栽培で鶏ふん堆肥を有効活用 4年前を迎えた広島大学との共同研究 JA全農ひろしま2025年4月25日
-
長野県産食材にこだわった焼肉店「和牛焼肉信州そだち」新規オープン JA全農2025年4月25日
-
【JA人事】JA中札内村(北海道)島次良己組合長を再任(4月10日)2025年4月25日
-
【JA人事】JA摩周湖(北海道)川口覚組合長を再任(4月24日)2025年4月25日
-
第41回「JA共済マルシェ」を開催 全国各地の旬の農産物・加工品が大集合、「農福連携」応援も JA共済連2025年4月25日
-
【JA人事】JAようてい(北海道)金子辰四郎組合長を新任(4月11日)2025年4月25日
-
宇城市の子どもたちへ地元農産物を贈呈 JA熊本うき園芸部会が学校給食に提供2025年4月25日
-
静岡の茶産業拡大へ 抹茶栽培農地における営農型太陽光発電所を共同開発 JA三井リース2025年4月25日
-
静岡・三島で町ぐるみの「きのこマルシェ」長谷川きのこ園で開催 JAふじ伊豆2025年4月25日
-
システム障害が暫定復旧 農林中金2025年4月25日
-
神奈川県のスタートアップAgnaviへ出資 AgVenture Lab2025年4月25日