農林中金 経常利益3249億円-2015年度決算2016年5月27日
農林中央金庫は5月25日に2015年度決算を発表した。外貨調達費用の増加で経常利益は過去最高だった前期より1896億円減少し3249億円となったが、高水準の収益を確保した。
2015年度の金融市場は中国経済への懸念から米国、欧州の長期金利が低下し、国内も日銀がマイナス金利を導入した。また、為替は米国の利上げペース鈍化観測などで年明けから急速に円高が進行した。
こうした環境のもとでの決算について河野理事長は「運用資産を慎重に積み上げたことや、通期の平均為替では円安に振れたことなど、利益配当収入は増加したが、一方で外貨調達費用が大きく増加した」と話し、経常利益(連結)は前期比1896億円減の3249億円となった。また、純利益は1400億円減の2712億円となった。
前期の経常利益5145億円は過去最高で、今期は減益したもののリーマンショック前にも3000億円台の経常利益は高水準といえる。
自己資本比率のうちTier1(中核的自己資本)比率は1.74%増えて18.99%、総自己資本比率は0.88%増えて25.07%となった。
損益の状況をみると経常収益は719億円減少した一方、おもに資金調達費用と事業管理費が増えたため経常費用は1176億円増加した。外貨調達費用は前期比737億円増えた1899億円となった。利回りは0.14%増えて0.42%となった。
今年度について河野理事長は「内外の環境変化をふまえ引き続き慎重な財務運営を継続していく。日銀によるマイナス金利政策の影響、外貨調達コストの増加をふまえつつ、有価証券の含み益の一部実現に加えて海外のクレジット資産の積み増しや、低金利環境の長期化にそなえた外国債券への新規投資等に取り組む」と話し経常利益で1500億円程度をめざすとした。ただ、円高と株式市場の低迷、外貨調達費用の増加をもたらす米国金利の上昇などが続く見込みで「環境は年々厳しくなる方向。1500億円の経常利益を上げるにはかなり努力が必要だ」と強調した。
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