いもち病に強い稲開発へ 生物研2015年11月26日
冷害年でも抵抗性誘導剤に効果
国立研究開発法人農業生物資源研究所は11月17日、「いもち病」に対する抵抗性誘導剤の効果が低温で発揮できない原因を解明し、低温でも「いもち病」にかかりにくい稲の開発を目指すことをまとめた。
いもち病は糸状菌(カビ)であるいもち病菌の感染により引き起こされ、低温多湿な条件で感染しやすく、冷害の年に大発生することがある。被害が大きかった例として、1993年と2003年の冷害年には、それぞれ7%、4%の米作がいもち病により失われ、被害額は700億円~1200億円に上った。
このいもち病の予防には「抵抗性誘導剤」を散布することが有効とされている。しかし、冷害の年には、抵抗性誘導剤を散布してもいもち病が大発生することが問題となっていた。
今回、抵抗性誘導剤は稲の病害抵抗性を高めるため必要な遺伝子を活性化するが、低温になるとその遺伝子をつくる病害抵抗性を高めるタンパク質の働きを阻害する酵素が作らえれ、その結果効果が薄くなることが分かった。
今後は低温でも抵抗性誘導剤の効き目があり、いもち病に強くなる稲を目指し、この酵素が作られない稲の開発に取り組む。
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