業務野菜拡大でデリカフーズと提携 JA全農2018年3月23日
JA全農は、青果物を中心とした国産農畜産物の集荷・加工・販売事業さらに物流機能や商品開発などについて、国内最大手の業務用野菜卸・デリカフーズホールディングス(株)との業務提携に合意したと3月22日に発表した。
デリカフーズグループは、ファミリーレストラン・ファストフーズ・居酒屋などの外食、コンビニ・惣菜・弁当などの中食などを中心に、カット野菜や真空加熱野菜、ホール野菜を提供している業務用野菜卸の国内最大手で、年商は346億円(17年度連結)。
国内の野菜需要は、中食・外食需要など加工・業務用が家庭用需要を上回り57%を占めている。そのうち、国産原料の割合は7割程度だとされている。
JA全農では、生産者手取りの確保と農業経営の安定をはかるために、園芸事業の直販を一層強化・拡大していくことにしているが、これを実現していくためには、これまでの家庭用中心から、拡大する加工・業務用需要に応えていく必要がある。デリカグループとの連携でこの分野での販路を拡大し、産地の生産振興をはかっていきたいというのが、今回の業務提携の目的だといえる。
(写真)キャベツ畑のイメージ
デリカグループは「『農業』と『科学者』の目を併せ持つ『業務用の八百屋』」と自負するように、業界トップクラスの研究部門をもち、野菜の活性酸素消去能(抗酸化力)に関する分野で高い評価を得ている。さらに機能性野菜など研究成果を活かした事業の展開もしている。そうした同グループの研究開発力と業界最大手として把握している品質や品種などの顧客ニーズなどを生産に活かしていくことがこの提携の最重要課題となる。
そのためJA全農では、県本部・経済連・JAと協力して、顧客ニーズに応えた加工・業務用野菜を生産する産地を育成し、キャベツやタマネギ、レタスなどの野菜を周年供給できるような態勢をつくることで、国産野菜の生産拡大につなげていくことにしている。
また、「スピード&フレッシュ」を掲げるデリカグループは、チルド物流による配送網が整備されており、この物流インフラを共同利用することで、産地から実需者まで鮮度保持された野菜の流通が可能になることも、産地にとっては大きな魅力だといえるだろう。
現在、同グループと全農との取引額は5億5000万円だが、この提携によってこれがさらに拡大されていくことは間違いないだろう。全農では「双方の集荷・加工・販売・物流機能を活用した合理的・効率的な事業運営の仕組みを構築し、より競争力のある事業展開をめざす」と、業務提携契約書の締結にあたってコメントしている。
(関連記事)
・野菜需給の硬直性(18.02.19)
・(055)各社が活用する協同組合モデル(17.11.03)
・第31回 「JAにおける業務用野菜ビジネスへの挑戦」(17.10.07)
・消費情報を販売戦略に【JA富里市前常務理事 仲野 隆三氏】(17.04.28)
・マーケットインによる生産振興と販売力強化(上) 全農園芸総合対策部 野崎和美部長(16.08.26)
・トータルコスト低減で手取りを最大化 生産資材部 鷹野尚志部長(16.06.21)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(138)-改正食料・農業・農村基本法(24)-2025年4月19日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(55)【防除学習帖】第294回2025年4月19日
-
農薬の正しい使い方(28)【今さら聞けない営農情報】第294回2025年4月19日
-
若者たちのスタートアップ農園 "The Circle(ザ・サークル)"【イタリア通信】2025年4月19日
-
【特殊報】コムギ縞萎縮病 県内で数十年ぶりに確認 愛知県2025年4月18日
-
3月の米相対取引価格2万5876円 備蓄米放出で前月比609円下がる 小売価格への反映どこまで2025年4月18日
-
地方卸にも備蓄米届くよう 備蓄米販売ルール改定 農水省2025年4月18日
-
主食用МA米の拡大国産米に影響 閣議了解と整合せず 江藤農相2025年4月18日
-
米産業のイノベーション競う 石川の「ひゃくまん穀」、秋田の「サキホコレ」もPR お米未来展2025年4月18日
-
「5%の賃上げ」広がりどこまで 2025年春闘〝後半戦〟へ 農産物価格にも影響か2025年4月18日
-
(431)不安定化の波及効果【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年4月18日
-
JA全農えひめ 直販ショップで「えひめ100みかんいよかん混合」などの飲料や柑橘、「アスパラ」など販売2025年4月18日
-
商品の力で産地応援 「ニッポンエール」詰合せ JA全農2025年4月18日
-
JA共済アプリの新機能「かぞく共有」の提供を開始 もしもにそなえて家族に契約情報を共有できる JA共済連2025年4月18日
-
地元産小粒大豆を原料に 直営工場で風味豊かな「やさと納豆」生産 JAやさと2025年4月18日
-
冬に咲く可憐な「啓翁桜」 日本一の産地から JAやまがた2025年4月18日
-
農林中金が使⽤するメールシステムに不正アクセス 第三者によるサイバー攻撃2025年4月18日
-
農水省「地域の食品産業ビジネス創出プロジェクト事業」23日まで申請受付 船井総研2025年4月18日
-
日本初のバイオ炭カンファレンス「GLOBAL BIOCHAR EXCHANGE 2025」に協賛 兼松2025年4月18日
-
森林価値の最大化に貢献 ISFCに加盟 日本製紙2025年4月18日