全農酪農体験発表会 岩手の山崎さんが最優秀賞(1)2018年9月13日
JA全農は9月7日に第36回全農酪農経営体験発表会を開いた。前日に発生した北海道胆振東部地震への対応に追われながらも、全国から約500人が参加し6人の経営体験発表に熱心に耳を傾けていた。当日は第12回全農学生「酪農の夢」コンクールの最優秀作品の発表と表彰式も行われた。
◆小規模でも最大利益 最優秀賞の山崎夫妻(岩手)
今回、最優秀賞を受賞したのは岩手県岩泉町の山崎敏さん、幸子さん夫妻。「目標を見える化し一致団結!家族酪農」と題して発表した。 山崎さんは酪農家の長男に生まれ、岩手県立農業大学校で学び、研究科に進み人工授精師と受精卵移植師の資格を取得。卒業後は北海道別海町で実習し平成14年に酪農ヘルパーを兼務しながら実家で就農、25年に経営を継承した。
就農当初は飼料価格は高騰、乳価は下落という厳しい状況のなか新たな投資は無理と判断、現状維持で最大限の利益を上げることを目標とした。
平成29年の総飼養頭数は49頭でうち経産牛は34頭。10年がかりで石灰を投入して土壌改良を行い、面積を21haに拡大するとともに、牧草の収量を向上させてきた。トラクターにGPSを装備し作業の効率化も図っている。
(写真)最優秀賞に輝いた山崎敏さん、幸子さん夫妻
デントコーン生産はやめて牧草のみ生産。育成牛は町内の育成牧場に預託して省力化をはかっている。これにより粗飼料自給率は100%を実現、良質な牧草生産によって高タンパク飼料を得て配合飼料給与量の削減にも取り組んだ。乳飼比は29.5%と30%を下回る。生乳1kgあたりの生産費は82.3円と発表者の6人のなかでもっとも低かった。
牛群改良にも積極的に取り組み、年間個体乳量は9500kg、体細胞数は8万7000個と10万を下回っており、高水準の量と質を確保した。
自家授精で雌選別精液を有効活用し年間10頭の後継牛が確保できると、残りはET(受精卵移植)で和牛を生産、所得向上につなげている。
(写真)最優秀賞に輝いた山崎さん
山崎さんが力を入れるのが作業や目標、牛の個体情報などをノートに整理したり、牛舎内に札やボードで掲示すること。乳量や乳質などの目標は来客のある事務所や自宅にまで掲げている。山崎さんは「見える化」することで家族が一致団結、前向きになったという。 「先人たちが築き上げてきた農村の風景を残し東北沿岸の酪農を盛り上げていきたい」と決意を新たにしていた。
審査委員長の小林日大教授は小規模でも営農できる都府県酪農のあり方を示したと評価した。
(写真)審査委員長の小林信一日大生物資源科学部教授
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