畜産学ぶ高校生の意識を変えた 全国和牛ハイスクールサミット2019年10月17日
宮崎県小林市が10月2日から4日に開催した、「全国和牛ハイスクールサミット in こばやし」に、和牛生産を学ぶ農業高校生が16府県31校の生徒約350人が参加し、宮崎県の生産体制や最新技術などを学び、交流を深めた。
大会スローガン「小林で育む和牛の仲間 若人の力 結集せよ」のとおり高校生たちは意欲的に学び、将来の夢を語り交流を深めた。
参加した高校生たちの集合写真
既報のとおり、宮崎県小林市で「第1回全国和牛ハイスクールサミット in こばやし」が10月2日から4日にかけて開催された。
口蹄疫の甚大な被害を克服した小林市の畜産は、2017年の「全国和牛能力共進会」(全共)宮城大会の和牛の部で内閣総理大臣賞を受賞し、地元の宮崎県立小林秀峰高等学校は史上30年ぶりの高校出品を果たし、2区で5位入賞の快挙を果たした。
こうした活躍を「残るものとしたいという思い」から企画されたのが、この全国和牛ハイスクールサミットだ(同サミット事務局の小林市役所経済部畜産課)。
「全共」では、参加する高校がお互いにライバルとなるが、このサミットは、全国の高校生が参加し、将来の和牛経営について夢を語り合い、仲間づくりや新たな技術を学ぶことなどを通じて、高校生のモチベーションを高めることや、キャリア教育の観点からの効果も期待できる。
(写真)交流する高校生たち
10月2日に始まったサミットでは、ホスト校となった小林秀峰高校の生徒たちが全国から集まった高校生たちをバックアップした。また、初対面の高校生同士が話し合うための架け橋となって交流を促進した。高校生とは思えない、レベルの高い畜産の技術や経営に関する情報交換を行っていたので傍で聞いていたが分からないこともあったという(同市総合政策部地方創生課広報担当の吉丸さん)。
参加した高校生のアンケートには、
「いろんな人と交流して、みんなの和牛に対する気持ちが伝わってきた。他校生徒との交流が一番良かった。(印象に残ったカリキュラムなどは)シンポジウムの講演会とパネルディスカッションが参考になった。将来の進路はまだ定まっておらず、牛関係の仕事ではないかもしれないが、仕事に対する考え方などは大変参考になった」(岩手県の高校生)、
「宮崎の牛がすごくて、共進会でも熊本県と違ってレベルが高いと感じた。(印象に残ったカリキュラムなどは)肉牛農家の鎌田秀利さんの講演会。自分も将来経営者となるつもりなので、(リアルなお金の話など)経営の話もあったので大変参考になった。(将来の夢は)実家は乳牛を育てているが、将来は和牛の飼育も考えていきたい」(熊本県の高校生)などと記されている。
第61回宮崎県畜産共進会を見学
小林市はサミットの開催費用に充てるため、「ふるさと納税を活用したクラウドファンディング」で寄附を募った。寄附募集期間が8月1日から9月30日までの61日間と短かったが、全国から107万7000円が集まった。寄附者には事業報告書とお礼状が送られる。
サミット開催の費用には、講師、コーディネーターなどの旅費や謝礼、招待校の旅費、資料印刷費などかなりの費用が必要であるため、小林市は不足分を「小林市未来まち創生基金」の取り崩しを行い充当した。
今回、小林市が初めて開催したサミットが成功した背景には、畜産関係の農家の協力、それをまとめるJAこばやしの協力があったからだという。実行委員会を組織したことで地域ぐるみで開催を支援する体制が整備されたが、さらに畜産農家やJAなどの協力があったからこそうまくいったという(前出、吉丸さん)。
小林市は、来年も2回目のサミットを実施することを決めた。
インスタ撮影をする高校生たち。さらに多くの交流の輪が広がっていく
(関連記事)
・「和牛の仲間 若人の力 結集せよ」「全国和牛ハイスクールサミット」開催 宮崎県小林市(2019.09.03)
・【現地ルポ】JAこばやし(宮崎県) 災害時に真価発揮 肉牛の産地トップ築く(2019.07.17)
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