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【意見交換】JA経営の健全性担保に2018年3月15日

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意見交換する報告者(【意見交換】JA経営の健全性担保に) 白石JAの信用事業は透明で健全だと分かりました。新世紀JA研究会などの貯金保険機構(貯保)の保険料負担凍結の提案は遅いくらいです。JAグループだけでは論じられないかも知れませんが、影響の大きいJAグループが動くべきではないでしょうか。

 農林中金農水省が凍結に慎重な背景はいろいろですが、かつて預金保険機構(預保)でも同様の議論がありました。今は大きな破綻がなく安定していますが、バブル崩壊後の大手銀行の破綻対応で数兆円規模の不足が生じました。それを埋めるために長期間にわたり0・084%もの高い保険料水準が設定されましたが、巨額の欠損につながる破綻を出していない信金等の協同組織金融機関からは、保険料の引下げを求める要望がありました。
 貯保の財源はJAの破綻処理で使われるのが前提ですが、JAバンクシステムにおいてはJAの自己資本比率が低下した場合等にはJAバンク支援基金や県の相互援助基金から資本供与等の支援を行って、貯保の財源を使うことなく、破綻を未然に防止してきました。
 貯保や預保は金融機関に破綻懸念が生じた際に預貯金者が動揺しないための安心材料であり、行政からすると一定の財源を積み上げておく必要があるということで、預保は5兆円の目標を掲げていますが、貯保にはそれがありません。少なくとも、いくらをいつまでに積み上げるのか、合理的な見解を求めることは必要だと思います。
 ただ、保険制度は預貯金者保護が目的なので、対象金融機関の収支が厳しくなって破綻リスクが高まっているのであれば理論上は保険料を逆に引き上げなければならなくなり、保険料負担凍結の主張と相容れなくなります。

 白石JA改革やJAの収支とは次元が違うということを明確にして議論し、貯保制度についてはこれ以上積む必要がないことを訴えていく必要があります。

 萬代預保の積立金目標は欧米を基準にしているので、それなりの根拠があります。農水省は万が一と言っていますが、小さな不祥事はあっても不思議はありません。それを言っていたら切りがないでしょう。ただ、不祥事は隠さずオープンにして、原因の究明、対策が重要です。その方が、JAだけでなく、組合員のためでもあります。臭いものに蓋をするのはだめです。

 白石東日本大震災のとき貯保は使われなかったのですか。

 農林中金東日本大震災では被災した3県のJA・JFに570億円の資本注入をしています。貯保法・再編強化法を改正し、貯保とJAバンク支援基金で対応するスキームでしたが、貯保は積立残の約4000億円とは別の震災特別勘定を活用しました。その後、JAに注入された資本については全て返還を受けており、JFのみ注入資本が残っている状況です。

 福間貯保はいつ頃設立されたのでしょうか。また、預保とは別に設立されたのは何故でしょうか。

 農林中金昭和48年頃ですが、預金保険も貯金保険も預貯金の全額保護が長く続いたため、ペイオフが解禁されるまでは、保険金支払いではなく合併等で救済する金融機関に対する資金援助を主に行っていました。預金保険と貯金保険が別々の制度になっているのは、JAの総合事業性が関係していると思われます。金融機関からの積立金以外に公的資金を投入することも可能な公的保険制度に関しては、経済事業等金融以外の事業に公的資金が使われる可能性がある農協や漁協は別の制度にすべきだと、当局が考えているのかもしれません。
 逆に預保とは別の制度下にあるのでJAグループの年間の貯金保険料150億円を凍結して、その分を農業振興に使うという考え方は保険料凍結の一つの根拠になると考えられます。

 白石今回の農林中金と萬代さんの資料と報告は、いずれも、これ以上保険料を積む必要はないということで共通していると思います。凍結の方向でコンセンサスができたと思います。また古江さんの報告にあった、信組・信金の「深掘り戦略」は、協同組合らしい戦略としてもっと取り入れてもいいのではないでしょうか。

(写真)意見交換する報告者

※このページ「紙上セミナー」は新世紀JA研究会の責任で編集しています。

 

新世紀JA研究会のこれまでの活動をテーマごとにまとめていますぜひご覧下さい。

(関連記事)
「貯保」の積立金は十分 JAバンクシステムが機能【榎本浩巳・農林中央金庫JAバンク経営指導部長】(18.03.15)
役割果たした貯金保険機構【萬代宣雄・JAしまね前代表理事組合長】(18.03.15)

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