JAの活動:年頭あいさつ2017
佐藤喜作氏(一般社団法人農協協会会長)2017年1月1日
新年に当たり、心からのご挨拶を申し上げます。皆様ご健勝で新年を迎えられたことと存じます。
平成28年は異常気象より異変気象の様相で、それに天変地異がプラスされ、心労が絶えない年でした。高温は続き稲作は良でありましたが、畑作は日照不足等もあり、特に秋野菜は不作で価格は値上がりしました。
一方、諸国は経済、政争、紛争、テロなど目が放せぬ状況でした。国内ではあての無い農業、農協改革に終始し、騒がせたTPPは総てが農業問題の如く「産」、「消」を対立させてきましたが、肝心のアメリカが反対で仰天し、今は日本が張本人の形となり、農や農村は存亡の危機を迎えております。
頭脳で考える農業の合理化や工業のような効率化が可能であるならば、いかな農民でも、とっくに実現していたでしょう。砂漠的欧米農業は自由勝手な農業が可能でも、水系主体の農業でそれを実現したら農村は崩壊していたでしょう。
だから夫々の集落で自然から出る規制を定めており、それは個人にとっては誠に不自由農業なのです。しかし、その貫かれた伝統を崩せば争いの絶えない農村になります。
そして農業ばかりでなく食体系も伝統を棄て最高の主食の米飯が激減した結果、生活習慣病などの難病で苦労は絶えない状況です。これは自然界に存在しなかった人造物質が、生産時や、加工段階で食物に入るなどして動植物の健康を害した点も見逃せない重大事です。
本来動植物の細胞一個も人間の手により出現したものではありません。だから動植物は自然界で生まれたもののみを、肥料や食物としなければ、健康は維持できないのです。従って人間規制ではなく、大自然の規制を人類は守らなければなりません。
今日程、諸事万端の重大問題を抱えている時はなかったと思います。これを新しい道で解決処理することは出来ないと愚考します。今こそ原点に帰るべきです。その原点は生きる、未来に生きる、健全、健康であることです。その生きる三条件は、大気、水、食べ物です。食べ物だけが人の意思により左右されるものです。習慣病と言う名よりも、現代の難病、奇病は食原病と言うべきものです。
農も原点に帰らなければなりません。生きる事の喜びは孤独では手にすることは出来ません。総ての人が食べなければなりません。従って生産する段階でも責任を持てるより多くの生産者が必要です。そして各々知恵を出し合い協同の力で安定した安全な食べ物を充足しなければなりません。
今年は酉年です。日本の開闢も金の鳶や鶏で始まっております。そんな意味を含めて、今年は経済発展の目標よりも平和と健康に生きる事にギアチェンジしなければならないと考えます。
今年こそ酉のときの声を合図に、明るい灯が点る年にしたいものです。各位のご健勝とご多幸を祈りながら。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(139)-改正食料・農業・農村基本法(25)-2025年4月26日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(56)【防除学習帖】第295回2025年4月26日
-
農薬の正しい使い方(29)【今さら聞けない営農情報】第295回2025年4月26日
-
1人当たり精米消費、3月は微減 家庭内消費堅調も「中食」減少 米穀機構2025年4月25日
-
【JA人事】JAサロマ(北海道)櫛部文治組合長を再任(4月18日)2025年4月25日
-
静岡県菊川市でビオトープ「クミカ レフュジア菊川」の落成式開く 里山再生で希少動植物の"待避地"へ クミアイ化学工業2025年4月25日
-
25年産コシヒカリ 概算金で最低保証「2.2万円」 JA福井県2025年4月25日
-
(432)認証制度のとらえ方【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年4月25日
-
【'25新組合長に聞く】JA新ひたち野(茨城) 矢口博之氏(4/19就任) 「小美玉の恵み」ブランドに2025年4月25日
-
水稲栽培で鶏ふん堆肥を有効活用 4年前を迎えた広島大学との共同研究 JA全農ひろしま2025年4月25日
-
長野県産食材にこだわった焼肉店「和牛焼肉信州そだち」新規オープン JA全農2025年4月25日
-
【JA人事】JA中札内村(北海道)島次良己組合長を再任(4月10日)2025年4月25日
-
【JA人事】JA摩周湖(北海道)川口覚組合長を再任(4月24日)2025年4月25日
-
第41回「JA共済マルシェ」を開催 全国各地の旬の農産物・加工品が大集合、「農福連携」応援も JA共済連2025年4月25日
-
【JA人事】JAようてい(北海道)金子辰四郎組合長を新任(4月11日)2025年4月25日
-
宇城市の子どもたちへ地元農産物を贈呈 JA熊本うき園芸部会が学校給食に提供2025年4月25日
-
静岡の茶産業拡大へ 抹茶栽培農地における営農型太陽光発電所を共同開発 JA三井リース2025年4月25日
-
静岡・三島で町ぐるみの「きのこマルシェ」長谷川きのこ園で開催 JAふじ伊豆2025年4月25日
-
システム障害が暫定復旧 農林中金2025年4月25日
-
神奈川県のスタートアップAgnaviへ出資 AgVenture Lab2025年4月25日