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【第3回JA営農・経済フォーラム】西日本地区・実践事例報告2017年10月2日

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 福岡市で9月13日に行われた西日本地区のフォーラムではJA山口中央(山口)、JAおちいまばり(愛媛)、JAおおいた(大分)が実践報告をした。基調講演で流通経済研究所の南部特任研究員は都市JAと周辺JAの連携により都市部に独自の販売チャネルをつくることなどを提起した。

未来担う就農者を育成
JA山口中央 原田 俊二 営農経済部長

山口中央農協原田部長 30年後も元気な山口いちご産地をめざして農業生産法人・(株)べりーろーどを設立した。地域農業の永続的な発展をめざすため意欲ある若い就農者希望を雇用し、就業者の創意工夫を法人運営に取り入れてやりがいと魅力ある会社づくりをめざしている。
 山口いちごは生産量が毎年2ha、15t減少してきた。生産者は平成15年には600戸を超えていたが、25年は300戸となった。しかし、消費量は変わっておらず県内生産で需要を取り返すことができる。今までは新規就農者が現れるのを待っていたが、新規就農者の受け皿づくりにJAとして乗り出すことにした。
 29年度までに5.4haのいちご生産農場を整備、生産量200tめざす。完全なプライベートブランドとして確実に生産、販売することを考えている。全農県本部もパッケージセンターを整備する。
 昨年8名、今年8名を採用した。平均年齢は32歳。県農林総合センターの職員が栽培指導し、JAの営農指導員OBが労務管理などを行っている。パートタイマーも16名雇用している。農場が完成すれば約200棟のハウス群が設置され日本一の農場となる。
 求める人材はいちごが好き、情熱がある、根気強い人。採用内定後は県立農業大学校で研修してもらう。これには青年就農給付金を活用する。消費者との新たな交流拠点として地産地消運動も促進したい。

(写真)原田俊二・JA山口中央営農経済部長

JAが農業労働力を支援
JAおちいまばり 宇髙 秀志 常務理事

越智今治農協宇高常務 組合員との意見交換を実施し所得増大に向け7つの方針を打ち出したレインボープランを実践している。 TAC活動の強化と重点推進品目の面積拡大に取り組んでいる。とくに重点推進品目は、品目ごとに現状、課題、基本戦略、実施事項を「見える化」したシートを作成しPDCAサイクルを回している。
 TAC活動の強化のために、TACが農家に自信を持って指導できるよう簿記や税務知識を習得する経営指導塾も開いている。
 販売戦略はJAおちいまばりブランドの確立とファマーズマーケットでの直売に力を入れている。
 生産資材価格の取り組みで、予約価格は地域ナンバーワン、企画特売の実施などを行っている。
 生産支援策では、果樹の規模拡大と、農家の高齢化対策として農作業支援グループ心耕隊をつくった。JAの職員らで要員を構成し作業受託をしている。人材派遣会社とも連携し農業労働力の支援と新規就農者も募集している。適性があればJA出資法人の「ファーム咲創」で育成する。この法人は新規就農者育成と労働力支援も行う。 農地集積面積は約30ha。水稲、はだか麦、サトイモ、きゅうりなどを生産している。4期目で単年度黒字化を達成した。
 この法人をモデル法人と位置づけ、地域に水稲以外の営農モデルを先駆的に示し管内農家への普及をめざしていく。

(写真) 宇高秀志・JAおちいまばり常務理事

※宇高様の「高」の字は正式には異体字です。

合併メリット最大限発揮
JAおおいた 濱田 剛 常務理事

大分農協濱田常務 農業振興に向けてTACなどの増員による充実した営農支援体制づくりを推進している。
 TACは担い手への月1回の訪問による信頼関係づくり、担い手の要望・需要の的確な把握、ニーズに応える低コストの取り組みによるJA事業の拡大などをめざしている。
 28年度は専任8人、兼任(経済事業担当)14人で1万6000件を超える面談を実施した。30年度には30名体制とする目標だ。TAC活動を項目に分けて見える化とポイント化し、日々の活動内容を数値化して示している。ポイント化により各TACの得意分野や苦手分野が明確になったが、同時にTACの格差をなくすため週ミーティングや実績検討会で情報を共有している。ほかの人の取り組みや知識を取り入れて今までの自分の考えや行動を振り返ることでレベルアップしていくことができる。
 日々の面談から担い手ニーズを分析し、土壌診断を最重点課題として捉え研修会などを企画した。農家との勉強会では土壌診断結果と肥料設計の提案を行うなど、JAファン拡大につなげる取り組みもTACが行っている。
 今後は、JA内部、外部も含めた連携の強化、情報の共有を行い、さらに活動を平準化していく。若い後継者や新規就農者を主体とした勉強会、法人への生産性向上、コスト低減策、経営改善対策などの提案もしていく。

(写真)JA 濱田剛・JAおおいた常務理事

基調講演 Ⅱ
販売革新の実現をめざす
(公財)流通経済研究所 南部 哲弘 特任研究員

toku1710020504 人口減少など環境の変化があるため市場競争は繰り返す。意識的に変化し意図的に革新を仕掛けていかなければならない。しかし、JAは新商品を開発してイベントは打ち出すけれども新事業に結びつけているだろうか。収益が伸びず所得向上しなければ組合員の批判は増す。
 販売面から見た農協改革のひとつの意味は、全農が大手量販店向け対応を強化し、産地からの直販へ向かうというものだろう。逆に少量多品種生産のJAは独自の営業戦略を持つことが求められる。
 短期的な処方箋は「買いたい顧客を捕まえる」である。それには一元集荷多元販売ではなく、米でも高級品から普及品、さらに和食向け、洋食向け、あるいは寿司用などと生産・集荷の段階からセグメント化して多元集荷し多元販売をしていく。区分集荷、区分販売には混じりっけはない。一方、JAとしては多様性を備えることになり、小売間競争を活用できる。
 長期的な対応としては「ブロック産ブロック消」の胎動を考えたい。
 市場への委託販売では薄利が続く。そこで都市部JAと周辺JAが連携して小売りに参入する。県内のJAから商品調達する動きが増す。県産県消・域産域消ビジネスが台頭するとき、JAの知恵袋は誰が担うのか。
 顧客直販で利益率の向上をめざし、農産物の組み合わせ販売や連携で新価値を創造することが課題となる。柔軟な組織とマーケティング技能の習得も必要で県本部の役割と能力も問われる。JAグループの総合力を活用する必要がある。
 マーケットインとは生活者起点ということ。バリューチェーンとは生活者に向けた価値づくりの仕組みのことである。
 収益は買ってくれた顧客がもたらすものだということを認識したい。

(写真)流通経済研究所 南部 哲弘 特任研究員

【第3回JA営農・経済フォーラム】自己改革の「見える化」を(17.10.02)

【第3回JA営農・経済フォーラム】東日本地区・実践事例報告(17.10.02)

【第3回JA営農・経済フォーラム】中日本地区・実践事例報告(17.10.02)

担い手とJA職員の育成も課題-営農・経済フォーラム(17.09.05)

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