米の米国・豪州向け特別枠-TPP大筋合意2015年10月6日
米国アトランタで行われていたTPP(環太平洋連携協定)交渉閣僚会合は10月5日に大筋合意し、農林水産省は同日夜に農林水産分野の交渉結果を公表した。
◆MA米運用も一部変更
米は、現行のミニマム・アクセス輸入枠(玄米77万t)とは別に、TPP協定で米国と豪州にSBS(売買同時入札)方式の無税の輸入枠を設ける。米国枠は協定発効当初から3年間は5万t(精米ベース、以下同)とし13年目以降は7万tとする。豪州枠は当初3年間は6000tとし13年目以降は8400tとする。
TPP輸入枠で13年目以降は7万8400tが輸入されることになる。SBS輸入は輸入業者と国内の実需者との直接取引を可能する売買方式で現在でもおもに主食用米が輸入され国内市場に出回っている。
米の年間消費量は770万t程度でTPP輸入枠は1割程度を占めることになるが、年間の消費量が8万tづつ減少していることから、この枠を認めたことで国産米の影響が次第に大きくなることも考えられる。
ただし、TPP輸入枠の設定はWTO協定のミニマム・アクセス輸入米のように輸入義務といった規律はないという。
その一方で今回はTPP交渉を通じて、既存のミニマム・アクセス輸入米の運用を変更することを決めた。具体的には米国産米に多い中粒種を加工用(みそ、せんべいなどの米菓子、焼酎用原料など)に限定し、一般輸入枠のうち6万tをSBS方式に変更する。
また、既存のSBS方式による輸入(10万t)についても入札実施の時期や回数など運用方法の一部を変更することも決めた。これらはTPP協定とは別に日本側の自主的判断で行う措置だという。
小麦、大麦等も現行の国家貿易制度を維持するが、TPP枠を新設する。牛肉は関税撤廃を回避したが、16年目以降は9%となる厳しい結果となった。セーフガードも措置されるが16年目以降は、4年間発動がなければ制度は廃止される。
豚肉は差額関税制度を維持し、もっとも関税が低くなる分岐点価格は現行の1kg524円を維持。ただし、10年目以降に高額品にかかる従価税は撤廃される。
乳製品はTPP枠を新設。脱脂粉乳とバターで生乳換算で当初6万t、6年目に7万tとする。ユーザー、商社等による民間貿易として輸入。枠内税率は削減され11年目以降は従量税部分が廃止され、25%~35%の従価税のみとなる。
(関連記事)
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