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准組合員制度は住民生活の視点で検討-森山農相2015年11月18日

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 JA島根中央会の萬代宣雄会長らJAグループ島根の関係者は11月17日、森山農相に対して「将来を展望でき再生産を可能とする農業政策に関する要請」を行った。そのなかで農協改革の焦点のひとつとなる准組合員制度について森山農相は「地域で生活をしている人が准組合員でないと生活すら営めないではないかという現実がある。そこに着目して間違いなきを期さなければいけないと思っている」と述べ、地域住民の生活を支える総合JAの事業をふまえて利用実態調査などを行う意向を示した。

森山農相(右)を訪ね「将来を展望でき再生産を可能とする農業政策に関する要請書」を手渡すJAしまね中央会の萬代宣雄会長ら 萬代会長らは、要請事項のひとつとして来年4月の改正農協法施行で実施することになっている正・准組合員の事業利用調査の具体的な内容を明らかするよう求めた。
 これに対して自民党の農協改革PT座長も務めた森山農相は「われわれがいちばん議論したのは准組合員をどうするか。これは農協の立場というより、地域で生活をしている人が准組合員でないと生活すら営めないではないかという現実があるので、そこに着目して間違いなきを期さなければいけないと思っている」、「農協を経営している立場からすると准組合員がいなくなると経営も大変だという面もあると思うが、それよりも准組合員制度がなくなればその人の生活がどうなるのかというところが非常に大事な課題で、むしろ国としてはそっちのほうが大きな問題だろうと思う」などと述べた。
 ただ、利用実態調査について「(調査を)やろうと一口に言っても何を調べるのか、何を分母にし何を分子にするのかとか、そこから議論を始めないといけない。調査内容から団体のみなさんともよく議論をして取り組んでいきたい」と調査項目は今後の検討課題だとした。
 森山農相は自民党の農協改革PT座長として昨年7月本紙のインタビューで農協改革の目的について「ひとつはやはり農家の所得をどう向上させるかだが、もうひとつは地域サービスの安定的な提供をどう農協が果たしていくかだ」と話したほか、「農業は集落機能とつながっているから社会政策というか地域政策、そこも農協が担っていかなければいけない」と指摘していた(2014年7月10日号)。
 今後行う准組合員の利用実態調査でも、改めて地域住民の暮らしを支える観点をふまえ調査のあり方を検討する考えを示したといえる。

   ◆   ◆  

 萬代会長は、冒頭、今回の要請にいたるまでにTPP大筋合意に対し政府・与党に説明を求めてきた経緯を話した。萬代会長は安倍総理も国会決議は守られたとする発言などを念頭に「重要品目でも3割が最終的に関税撤廃となってしまう。少なくとも国会決議を守ったことにならない」と強調し、また現時点では輸入実績がない品目だからといっても将来は影響が出るとの不安も現場に高まっていると指摘。これらをどう受け止めるか自民党島根県連に考えを示すよう申し入れ、農業分野の交渉結果について「残念だ」との言葉で回答があったことを明らかした。
 これを受けて今後に向けた政策要請をするにいたったと説明した。 
 森山農相はTPP大筋合意について「保秘義務のある交渉だったから皆さんにあまり情報を伝えられず大変申し訳ないことだった。今、丁寧な説明に努めているところ。 農家のみなさんが思っていた妥協点と今度の妥協点は少し相違があるんじゃないかという気持ちは重々理解ができる」、「たしかにいろいろなことが起こり得ると思うので(TPP対策は)来年の秋に向かっても議論をずっと続けていこうということだ。大変、説明が悪かったり、いろいろな発言があったりしご迷惑をかけていることは本当に申し訳ないと思っているが、われわれは真摯に政策でご安心いただく以外にないと思っている。ぜひご理解を」などと話した。
 そのほか要請は▽食料自給率目標の達成、▽水田活用直接支払い交付金の法制化、▽新規就農対策や多面的機能支払い等の充実などを求めた。
 森山農相は食料自給率向上は「国民に対する国家の基本的な責務と思っている」と話したほか、飼料用米支援策の安定化と継続化に努力していることなどを話した。

(写真)森山農相(右)を訪ね「将来を展望でき再生産を可能とする農業政策に関する要請書」を手渡すJAしまね中央会の萬代宣雄会長ら

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