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農業労働不足解消で提言―農業労働力支援協議会2017年12月31日

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 農業生産現場では、恒常的に人材が不足するとともに、収穫期など短期間での労働力確保も非常に困難な状況にあり、これを早急に改善する必要がある。そのため、JA全農、JA全中、農林中金、JA共済連のJA全国連4団体と日本法人協会、全国農業会議所は平成28年4月に「農業労働力支援協議会」を立ち上げ検討をしてきたが、その内容を「提言」としてまとめ、12月27日に農林水産省、法務省、厚生労働省に手交した。

 農業労働力不足は、JA全農の神出元一理事長もJAcomのインタビューで「必要な野菜や米、畜産物などの生産基盤をどれだけ維持するかを考えると、労働力不足問題は深刻な課題を提示」していると指摘しているように大きな課題となっている。
 こうしたことを受け、同協議会では、すでに29年9月に政府が緊急に対策すべき事項として「外国人材の活用」について提言しているが、今回の提言ではこれに加えて、多様な農業人材の安定的な確保・育成、農業経営の安定や発展が可能となるよう「労働力不足解消に向けた対策の拡充」、「外国人技能実習制度の改善」について提言している。

基幹的農業従事者の数と年齢階層の推移(農林水産統計資料より抜粋)

「労働力不足解消に向けた対策の拡充」では、「目指すべき姿」として、
 ▽農業が魅力ある職業となり、就農希望者が大幅に増加し、就農後は地域に定着し安心・安定して営農できる施策(次世代人材投資事業等)が継続している。
 ▽農作業現場、とりわけ園芸分野では、労働負荷軽減・省力化機能を有した農業機械の普及と、専任オペレーター育成等による作業人材の確保により、労働力不足が解消されている。
 ▽農作業の受委託システムが構築され、広域のマッチング実現により農作業受委託の需給バランスが図られている、をあげている。
 こうした姿(課題)を解決するための今後の各団体の取組みとして次の4点をあげた。

 
(1)人材採用支援の構築:【全農】人材派遣業者と連携した人材募集策の検討、【法人協会】農業界と経済界の人材マッチング
(2)新規就農者の確保と定着支援の拡充:【JAグループ】新規就農者支援パッケージ構築の加速化、ネットを活用した新規就農者支援情報の掲載拡大
(3)農作業受託事業の構築と全国展開:【全農・法人協会】農業労働力最適活用支援総合対策事業を通じた農作業受託を含めた事業の構築検討
(4)園芸分野の農作業機械化への取組み拡充:【JAグループ】農業機械レンタル事業の拡大、ニーズに応じた機械の導入検討。

 
 そのうえで
「農業の労働力不足を解消するためには、まずは、農業就業者の減少を食い止める対策を講じること。そのためには、新規就農者や農業に興味をもった方が、安心・安定して就農できるような環境が必要である。
 また、農作業受委託が最適化できるよう、適時適切な需給把握や、広域のマッチング実現が可能となるネットワーク構築を進めること。さらには農作業現場、とりわけ園芸分野で費用対効果に見合った、労働負荷軽減・省力化に資する農作業機械の開発を早急に進めること。そのためには、農業界、普及・研究機関、製造メーカーが労働力不足解消対策において、一層連携できる態勢づくりが必要である」と提言した。

 「外国人技能実習制度の改善」では、

(1)寒冷地における農業の実態を踏まえるとともに、技能研修の実効性を高めるため、気象・気候等により農作業が確保できないことを理由に帰国する場合は、再入国して継続的に技能研修できるように制度を改善すること。
(2)作目や産地が異なる複数の経営体における実習の実施を認めることにより、年間を通じてより効果的な実習を可能とすること。
(3)農業の実態・特殊性を踏まえたうえで、新制度の定着化を図るとともに、技能実習生の意欲向上、効果的な実習の実施、適正な労務管理などを普及する取組みを支援すること。

 
を提言した。
 さらに「外国人材の活用」として、
「農業分野での外国人材受入れについて、要望している地域の全てが当該制度を利用できるよう国家戦略特区の地区制度を拡大するとともに、国家戦略特区に指定された地域以外においても一刻も早く全国の農業経営体や特定機関(労働者派遣法の許可を受ける等の要件を満たした事業者)が有能な外国人材を継続的に雇用できる法・制度等の整備を検討いただきたい」
と提言した。

 

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