GAP認知者の3割が取得の意向2018年3月29日
・担い手農業者は大規模ほど取得意欲高い
日本政策金融公庫(日本公庫)農林水産事業本部は3月28日、今年1月に実施した平成29 年度下半期農業景況調査のうち、担い手農業者のGAPの取り組みについての調査結果を発表した。
GAPの取り組み状況について聞いたところ「GAP認証を取得している」(4.1%) と「都道府県やJAなどが策定したGAP(以下、自治体等GAP)に取り組んでいる」 (19.8%)を合わせた2割強の経営体がGAPに取り組んでいることが分かった。売上規模別では、経営規模が大きくなるほどGAP認証の取得割合が高くなる傾向にあることが分かった。
GAPの取り組みによって感じた効果、メリットを調査したところ「食品事故の予防」(49.7%)が最多となり、次いで「環境保全への貢献」(45.1%)、「農作業事故の予防」(44.6%)の順となった。「販路の維持・拡大」(40.6%)と「売上の向上」(22.1%)も一定の回答割合となっており、収益への直接的な効果を実感している経営体もあることがうかがえる。
農業者からは「GAP認証を取得したところ、大手小売業者との取引で、新たな品目を取引をしたいとの申し出があり、大幅な売上拡大につながった」との声も聞かれた。また「GAP認証を取得している経営体」と「自治体等GAPに取組んでいる経営体」を比較すると「GAP認証を取得している経営体」の方が、特に労働環境の改善や従業員の自主性向上といった組織運営の改善や農作業事故の予防」による経営リスクの低減においてメリットをより強く感じていることが分かる。
また、GAP認証を取得していない経営体(GAP非認知者除く)を対象に、今後のGAP認証の取得予定を聞いたところ「GLOBALG.A.P.を今後取得する」(13.3%)、 「ASIAGAP/JGAP を今後取得する」(18.8%)を合わせた3割強が今後GAP認証を取得する意向を示した。一方で、半数近い経営体が「今後も取得するつもりはない」と回答している。
さらに、GAP認知者のうち「自治体等GAPに取り組んでいる経営体」と「取り組んでいない経営体」を比較したところ「自治体等GAPに取り組んでいる経営体」は「GLOBALG.A.P.」(18.8%)、「ASIAGAP/JGAP」(25.4%)ともに取得意向が強くなっている。
「GAP認証を今後も取得するつもりはない」と回答した経営体にその理由をたずねたところ、「認証取得の必要を感じない」(59.1%)が最多で、次いで「コストがかかる」(51.7%)、「売上につながらない」(45.6%)となった。農業者への聞き取りでは、(1)認証申請などに人手をかけられない、(2)設備が認証基準に 至らない、(3)関心はあるが情報がないといった声も聞かれ、今後の普及にあたっては、設備投資への支援や丁寧な情報提供が必要と公庫では見ている。
同調査で、食品企業に対しGAP関連農産物の取り扱い状況を聞いたところ、2割強の企業がGAP関連農産物を取扱う意向を示している。また、GAP関連農産物を「取り扱う予定はない」と回答した食品関連業者に対して、GAP関連農産物を取り扱う上での課題を聞いたところ「GAP認証を取得した生産者が少ない」との回答が35.2%あり、これらの結果から、今後、生産者に対するGAPへの取り組み要請が強まることが見込まれる。
また、同調査で、消費者に対しGAPの認知度を調査したところ「知っている」(4.2%)「名称を聞いたことがあるが内容は知らない」(17.2%)、「知らない」(78.7%)となり、消費者に対してGAPの情報 が浸透していないという実態が浮き彫りとなった。
さらに、GAP認知者のGAP関連農産物のイメージ調査では「鮮度が良い」(36.1%)、「おいしい」(24.1%)といった回答もあり、GAPの普及には、消費者に対する認知度を高めると同時に、正しい情報の提供が課題といえそうだ。
*ここでの担い手農業者とは、スーパーL資金または農業改良資金の融資先のこと。
*GAPとは、農業における食品安全 、環境保 全、労働安全などの持続可能性を確保するための生産工程管理の取り組み。GAPを農業者や産地が取り入れることにより 、結果として持続可能性の確保、競争力の強化、品質の向上、農業経営の改善や効率化に資するとともに、消費者や実需者の信頼の確保が期待される。
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