実需者ニーズふまえ販売力強化-JA全農30年度事業計画2018年3月27日
・生産支援では営農管理システム(Z-GIS)など新技術を活用
JA全農は3月27日の臨時総代会で平成30年度の事業計画を承認した。生産面では肥料に加え農業機械と段ボール資材の共同購入の拡大とジェネリック農薬の開発、海外飼料原料の調達力強化など生産コスト引き下げを進める。販売面では実需者ニーズをふまえ品目を横断した営業と直接販売の拡大などに取り組む。事業取扱高は29年度計画並みの4兆5900億円としている。
◆改革の「年次計画」深化
30年度は3か年計画の最終年度。「持続可能な農業生産・農業経営づくりへの貢献」、「海外事業の積極展開」、「元気な地域社会づくりへの支援」の3つの重点事業の総仕上げに取り組むとともに、全農の自己改革の取り組みとして29年度に示した具体策と「年次計画」(『魅力増す農業・農村』の実現に向けたJAグループの取り組みと提案)を深化、拡充させる。さらに効率的な事業運営に向けて新たな道筋へのレールを敷き組合員のための自己改革を着実に実践していくことも基本的な考えだ。
◇ ◇
米穀農産事業では営業開発部と連携した実需者との直接商談・取引の拡大などで米の直接販売は29年度より25万t多い125万tを目標とする。買取販売も同20万t多い50万tをめざす。広域集出荷施設も新規に3か所整備し累計で7か所とする。
園芸事業では需要が拡大している中食・外食向けサプライヤー企業や食品加工業者などを中心とした重点取引先を明確化し業務提携を推進する。また、県域を越えたブロック域での共同営業や広域集出荷施設などの直販拡大に向けた拠点整備も進める。
生産面では実需者ニーズを産地にフィードバックし、加工・業務用野菜の生産提案と契約栽培の推進、輸入量の多い生産野菜の国産化などに取り組む。直販事業分量は3300億円、買取販売は2410億円を目標とする。
耕種総合対策事業ではモデル55JAでのトータル生産コスト低減の取り組みを進めるとともに、水田フル活用に向けた多収品種導入などによる高生産性水田輪作体系の実証も行う。また、ほ場の栽培履歴等を地図データ上で確認できる営農管理システム(Z-GIS)やドローンの活用、労働力支援への対応を強化するほか、全中と共同で設置したJAグループGAP支援チームによる、GAP第三者認証取得をめざすJA生産部会などへ支援強化をする。
生産資材事業では、低コスト大型農業機械の開発による共同購入の拡大のほか、農業機械の共同利用や省力・低コスト資材の開発と普及をすすめる。JAの事業基盤の拡充支援では、JA域を超える広域物流の拡充とJA資材店舗の整備、強化などにも取り組む。
畜産事業では米国、ブラジル、カナダでの集荷基盤の強化など飼料原料の安定確保や、家畜疾病の多項目同時診断などを通じた衛生対策の強化、さらに販売面では包装肉事業拠点の全国的な整備、セントラルキッチン機能の付加の検討や、eコマースやデパート地下売り場など多様な販売チャネルの開拓などにも取り組む。
生活関連事業では地域のJA生活店舗の業態転換や、総合宅配の拡大、ライフラインSS運営手法の提案などを進める。 昨年9月の発足した営業開発部門では各事業部門と連携した農畜産物と加工品の直接販売の拡大に取り組み、バリューチェーン構築を進める。
輸出事業では多収品種の栽培による米の輸出専用産地の育成や青果物リレー出荷体制の構築など相手国のニーズや検疫条件をふまえた産地づくりの実践と重点国別の需要にもとづく輸出商品の選定などに取り組む。
30年度の輸出目標はJAグループ全体で207億円としている。このうち牛肉は69億円、米は32億円、青果物は82億円としている。
そのほか事業運営では女性職員が活躍できる制度の導入、若手職員や管理職層の階層別研修による人材育成にも取り組む。また、フードマーケット事業部を新設し、レストラン事業の統括部署も設置する。
◇ ◇
取扱い高は29年度並みの4兆5912億円とする。飼料供給体制の合理化を目的とした北海道の飼料事業のホクレンへの移管で減少するものの、青果と石油の単価高などを見込んだ。
収支計画では、事業総利益は29年度計画比99%の912億円とする。事業管理費は947億円で事業利益は29年度計画から10億円減の▲35億円とする。 経常利益は29年度計画から8億円減の40億円とする。税引前当期利益は29年度計画から4億円減の43億円とする。当期剰余金は29年度計画から5億円増の34億円とする。
外部出資計画は米穀事業で安定的な販売先確保のための出資などで33億円を計画している。ただし、定款変更(平成25年)で事業競争力強化のため100億円までの出資は経営管理委員会で決定することができることになっている。
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