コメ播種前契約 価格決定は「契約締結時」57%-農水省調査2018年4月10日
農林水産省が発行している「米に関するマンスリーレポート」4月号では米の事前契約の取り組み状況について特集している。取引価格の決定時期は出来秋に最終決定する事例が多いものの、契約締結時も少なくないことが分かった。
需要に応じた生産を行うためには販売量が見通せる播種前・収穫前などの事前契約が重要になる。全国的に事前契約は増えており、26年産の102万tが29年産では138万tまで拡大した。うち複数年契約は78万tとなっている。
こうした取り組みを今後さらに拡大させることが必要で、そのために今回農水省は取引実態を調査した。調査対象は米出荷業者31業者45事例。
事前契約の価格決定時期(播種前契約・収穫前契約
(表をクリックすると大きな表が表示されます。)
契約締結時期を全事例でみると、多い時期は播種前契約では「4月」が44%、収穫前契約では「7月」が71%、複数年契約では「7月」が43%だった。
価格決定時期のうち「契約締結時に決定」は播種前契約では57%ともっとも多く、収穫前契約では20%、複数年契約(複数年固定)では25%だった。
収穫前契約でもっとも多かったのが「契約締結時に基準価格・変動幅を設定し出来秋に決定」で47%だった。
複数年契約でもっとも多かったのは「契約締結時に基準価格・変動幅を設定し出来秋に決定。次年産以降、都度、基準価格・変動幅を設定」が30%、「出来秋に決定」が30%だった。
出来秋に最終決定する事例が多いが、播種前契約では「契約締結時に決定する」が過半を占めている実態も示された。
事前契約の提案は出荷業者側からの提案が7割となっている。取り組みが拡大できている要因としては「需給が引き締まり傾向にあり、安定調達を求める需要者に提案しやすい環境にあるため」という理由がもっとも多かった。
ついで「安定した販売先を確保すべく事前契約率向上に努めているため」、「産地・需要者双方が安定取引の重要性を認識しているため」などがあがっている。
売り手側のメリットとしては「需給環境に左右されず安定した販売先を確保でき経営の安定が図られる」がもっとも多く、ついで「需要に応じた計画的な生産・集荷が可能」、「出回り時期から安定的に引き取ってもらえるため余計なコスト負担がない」、「販売先が明確になるため生産者の生産・出荷意欲の向上につながる」、「出来秋の商談を省力化することができる」などが挙がった。 課題としては「集荷数量の維持・拡大」、「複数年固定価格に対する生産者の理解」、「不作になった場合の契約不履行の懸念」があがったが、今後の方針としては「最終需要者を明確にした事前契約の拡大」がもっとも多い回答だった。
また、現在は事前契約を需要者とJAなど集荷業者間の取り引きであって、集荷業者と生産者間での集荷ツールとの位置づけが弱いため、今後は生産者まで結びつけたかたちで複数年契約を締結していくなど新たな手法に取り組むという回答もあった。
(関連記事)
・【JA全農米穀事業部】コメの実需者直接販売125万t目標(18.03.09)
・備蓄米の政府買入れ 入札低調-30年産第1回(18.01.29)
・需要に応じたコメ生産に向け全国組織が発足(17.12.22)
・持続可能な農業生産・経営づくりに貢献 JA全農28年度の事業(17.07.12)
・直接・買取販売へ 不退転の決意で【JA全農米穀部次長 栗原 竜也氏】(17.06.13)
・トータルコスト削減が鍵-全農・神出専務ら(17.04.27)
重要な記事
最新の記事
-
【警報】野菜類、花き類にハスモンヨトウ、オオタバコガ 県内全域で多発 熊本県2024年11月13日
-
【クローズアップ】25年度全中畜酪政策提案 生産意欲損なわぬ酪肉近目標を 国産飼料拡大と生乳需給強化も2024年11月13日
-
町内清掃に参加し環境保全活動 JA共済連2024年11月13日
-
農業高校の生徒と教員がVRで農作業事故を疑似体験 JA共済連が農業収穫祭で特別講義2024年11月13日
-
日本唯一 お茶の総合博覧会「世界お茶まつり2025」開催 静岡県2024年11月13日
-
「おにぎり ぼんご」と親子おむすび教室を共同開催 ファミリーマート2024年11月13日
-
埼玉県の名産「桂木ゆず」を肥料に使用「桂木ゆず米」新発売2024年11月13日
-
外食・中食・小売 関西最大級の商談展示会「FOODSTYLE Kansai 2025」開催2024年11月13日
-
和歌山県橋本市「第18回まっせ・はしもと~柿まつり2024」開催2024年11月13日
-
第18回全農学生『酪農の夢』コンクール受賞作品が決定 上位4作品の朗読動画を公開 JA全農2024年11月13日
-
京都のブランド牛「亀岡牛」品評会で健闘「優良賞2席」を受賞 亀岡市2024年11月13日
-
「北海道のひだり上るもいフェア」東京・有楽町のどさんこプラザで開催2024年11月13日
-
馬上丈司社長が財界「経営者賞」受賞 千葉エコ・エネルギー2024年11月13日
-
富士通と連携 CO2削減などの課題を可視化・分析 スムーズなEV導入を支援 JA三井リース2024年11月13日
-
JICAから追加支援 ブラジルで高機能バイオ炭事業を加速 TOWING2024年11月13日
-
「自然派Style産直じゃがいもまるごとハッシュドポテト」新登場 コープ自然派2024年11月13日
-
台湾産のジャポニカ米「むすびの郷」14日から発売 西友2024年11月13日
-
【特殊報】ルレクチエにセイヨウナシ黒斑細菌病 県内で初めて確認 新潟県2024年11月12日
-
水田政策 直接支払いなど 国会で熟議 大胆な農政運営めざす 江藤農相就任会見2024年11月12日
-
民意はどこにあったのか? 得票率に見る衆院選と農業政策 田代洋一・横浜国大名誉教授2024年11月12日