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TPP以上 断固認めず-日米貿易交渉で自民対策本部2019年8月6日

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 自民党は8月5日、TPP・日EU・日米TAG等経済協定対策本部(本部長=森山裕国会対策委員長)の会合を、TPP交渉における国益を守り抜く会と合同で開いた。政府は同会合で日米貿易交渉について説明。会合では会合の概要は説明されるものの、交渉内容についてはまったく示されないことについての不満や、TPP協定とは別に米国に農産物輸入枠が設定されるようなTPPを超える合意はしないよう確認を求める声が相次いだ。

◆8月がヤマ場か?

日米貿易交渉で自民対策本部 日米貿易交渉は7月から次官、局長級協議や課長級による実務者レベルの協議が行われており、8月1日と2日に茂木敏充経済再生担当大臣とライトハイザー通商代表との閣僚協議が米国で行われた。
 会合後、茂木大臣は「日米相互にとって良い成果を早期に実現するための議論を、かなり前に進めることができた」と述べ、さらに事務レベル協議を進めたうえで8月中に再度、閣僚協議を行う方針を示した。
 TPP政府対策本部の澁谷和久政策調整統括官によると、米側からはトランプ大統領が4月から交渉しており一刻も早く成果がほしいと指示しているとして、9月下旬にニューヨークで開かれる国連総会期間中の日米首脳会談で「なんとかいい発表ができないか」との趣旨の要望があったという。
 これに対して茂木大臣は日本国内で与党の合意と国会で成立する内容でなければ合意に意味がないことや、早期に成果を挙げようとするなら、米側がより柔軟性を示さなければならないと主張したという。
 これまでは日本は米国に対して自動車の関税引き下げ等を要求、米国は農産品で日本への輸入増を求めている。これまでは双方が主張しあう構図だったが、今回の閣僚協議では米側から自動車など工業品での論点をめぐる議論も進展したとみられ、交渉が加速することも考えられる。
 茂木大臣は、交渉は昨年の日米共同声明に基づくという方向性は一致していると強調している。共同声明ではTPP協定(環太平洋連携協定)を念頭に「過去の経済連携協定の内容が最大限」と明記されている。
 澁谷統括官は日米共同声明が基本と米側も認識しているが、「そのなかの最大限を取ろうとしている。一方、我々としては国会で説明できる内容にと、細部にも十分に気を使いながら交渉しているが、まだまだ気を抜けない」と話し、交渉の現場では「煮詰まったという感じはまったくしていない」とも話した。

日米貿易交渉の動きと今後


◆TPP枠超えは阻止

 会合で森山裕本部長は「共同声明の線に沿ってしっかりと結論を出していくことが大事なこと」と強調した。
 ただ、議員からは「どこがポイントなのか、交渉の中身はまったく聞かされていない。TPP11とは別に米国と交渉して、一体(輸入量は)どうなるんだろうという農家の不安に何ら答えることができない」(伊東良孝衆院議員)など情報開示を求める声も出た。
 とくに懸念されているのが米国が要求している農産品の輸入枠の設定。発効しているTPP11協定では、加盟12か国全体で合意したTPP輸入枠(ワイド枠)が設定されており、乳製品などは米国の参加を前提として決めた。これに対して日米交渉への懸念は「別に枠が決められて輸入量が増えるんじゃないか、と農家は指摘している」(藤木眞也参議院議員)というものだ。
 澁谷統括官は「TPP11と日米合意を足してTPPを超えることがあってはならない」との認識のもとで交渉している話したが、「ここはガチンコ」と米国の要求が強硬であることも示唆した。
 森山本部長は「TPPで決めた枠は米国参加の予定で決めた。別の枠(を作ること)で大枠より増えるなんてことはあり得ない話」と政府に強調した。
 茂木大臣は2日の記者会見で交渉状況を登山にたとえ「頂上は見えている」と発言したことについて江藤拓・TPP交渉における国益を守り抜く会会長は「ここから先が登れば登るほど急峻になる。いちばん大事なところだ」と強調し、改めて農産品だけ先行して合意するようなことは「党として絶対に認めない」とクギを刺した。

(写真)会合であいさつする森山本部長


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