食料安保の抜本強化 基本理念の柱に 基本法改正方向で自民党が提言2023年12月21日
自民党は食料・農業・農村基本法の改正の方向性についての提言をまとめ12月20日、岸田文雄首相に同党の総合農林政策調査会の江藤拓会長が渡した。
提言では基本法の基本理念で食料安全保障を柱として位置づけることを提起するとともに、現行基本法の「国内農業生産の増大を基本に輸入と備蓄を組み合わせる」との考え方は堅持するものの、輸出を通じた食料供給能力の維持、安定的な輸入・備蓄の確保といった新たな視点を追加することを提起している。
また、現行基本法にはない生産資材の安定確保の視点を加えるとともに、「資材価格の高騰に対する農業経営への影響緩和対応」の基本法での明確化や、生産・加工・流通・小売から消費者まで含む「食料システム」という概念を新たに位置づけることも求めている。
食料の価格形成については、農業生産にかかる合理的な費用や環境負荷低減のコストなど「食料の持続的な供給に要する合理的な費用」が考慮されるべきことを基本法で明確化すべきとしている。
農業の持続的な発展に向けた改正については、現行基本法にある「効率的かつ安定的な農業経営」の育成と確保を引き続き図りつつ、「担い手とともに地域の農業生産活動を行う、担い手以外の多様な農業人材」を位置づけるよう求めている。また、農業法人の経営基盤強化とサービス事業体の育成・確保の位置づけも提起している。
農村振興については「基盤整備」と「生活環境整備」の2本柱に、農村関係人口の増加につながる「産業の振興」と「多面的機能支払」を位置づけること、また、農村RМOの促進などで「地域社会の維持」を図ることも明確化するよう求めた。また、現行基本法にはない鳥獣害対策や農福連携なども明確化すべきとしている。
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