【世界の農業を考える CORTEVAのトップに聞く】大事なことは共同して取り組むこと(2)2018年11月1日
・RajanGajariaExecutiveVicePresident,CropProtectionPlatform
・KrystaHardenSeniorVicePresident,ExtremalAffairs&ChiefSustainabilityOfficer
◆農地は増えない―食料確保は?
――世界では、食料危機とか飢餓の問題がいまも起きていますが、今後はさらに人口が増えて深刻になると思います。しかし、農地を増やせないなかで、これから食料を確保していくために大事なことはなんでしょうか?
Gajaria 食料の増産は、単純に人口増に比例するのではなく、多くの人がよりたんぱく質を摂取するようになりますから、実際に必要な農産物の量はもっと速いスピードで増えていかなければなりません。農地については限りがあるので、私たちが目指すのはヘクタール当たりの収量をいかに上げていくかに絞られます。そう考えたときにCORTEVAが持っている種子、農薬、デジタル技術を使うことは必要ですが、それだけでは十分ではありません。私たちは大きなパズルを作るための一員であって、全体を作るには私たち以外の技術をもった会社と一緒に取り組んでいくことが非常に大事です。今回の会議のテーマにも、パートナーシップとかコラボレーションがありますが、それらが大事で、その一員として私たちがどうプレイするかです。
Harden 昨日、話題になったのが「食料ロス」の問題です。それは作った農産物をどうやって保存して消費者に届けるか、これが世界的な人口増への対応での重要課題になってきます。
――保管技術が十分ではない国がたくさんあるということですか?
Harden 設備の問題もありますが、適切な設備があれば済むことではなく、実際に収穫するタイミングはそれでいいのか? 収穫が遅れているために保存状態が悪くなるとか、的確な収穫時期と保存技術を適切に使い、収穫した農産物をきちんと世の中に出していく仕組みがきちんとできているのか? また保存したままで売り先が確保できていなければ無駄になるという問題です。この解決には教育が重要になってきます。
もう一つは、いったん食卓に上ったあとに食べきれなくなったものの廃棄ですが、この問題も個別に対応すべき課題のひとつです。
(写真)Krysta Harden Senior Vice President, Extremal Affairs & Chief Sustainability Officer
◆日本の魅力は3つある
――アジア農業では水稲が大きなウェイトをもっていますが、現状と今後について...
Gajaria アジアの供給と消費をみると、消費がものすごい勢いで伸びている地域です。ものすごい消費をどうやって生産で補うのかが大きなカギです。補うべき生産物の中で最重要な位置を占めるが水稲です。
水稲については、世界には作付が1億ha以上の作物が4つあり、そのなかの1つが水稲で1.5億haです。面積が増えるとは思いませんが、まだまだヘクタール当たり生産量が増えるという見通しと、そこにより高い品質を求めるという、2つの面で、水稲にはまだまだ成長の余地があります。そのためには、適切な栽培方法と的確な技術を合わせて使っていくことで生産性をあげていくことができると思います。
――日本は?
Gajaria 日本の魅力は3つあります。
一つは、市場としての魅力です。二つ目は日本発のテクノロジーの魅力、そして三つ目は、それらを踏まえて日本が他国に与える影響力です。
市場ということでは、日本の消費者がハイクオリティーを求めているので、それに応える生産をサポートすることで、日本の標準にあったものを提供することは非常に重要なことになります。
技術では、日本の農薬メーカーは、素晴らしい技術や新しい製品をもっておられますので、彼らとパートナーシップをとっていくことは、私たちにとって重要です。
そして日本の会社がどんどん海外進出を考えている中では、彼らのもっている素晴らしさ、テクノロジーを一緒に広めていく。
そういう3つの観点で日本は重要なマーケットだと考えています。
(写真)分科会で発言するMr.Gajaria
――ウンカ剤を全農と開発されました。西日本の水稲生産者が大変に期待していますが...。
Gajaria ピラキサルト剤のことですね。生産者の反響は、非常に嬉しいことですが、それに応えるためには私たちはきちんと責任を果たさなければいけないと考えています。
アジアのウンカ防除は東南アジアでの防除、その結果としての抵抗性の発現が日本の生産者に影響を与えることになります。ですから抵抗性発現抑制対策として、1作物シーズンに1回の使用。1年では作付け回数に係わらず、2回までを伝えていきます。その上で、ピラキサルト剤の後には作用の異なる薬剤を使っていただくように普及していきます。日本では当然のことですが、登録薬量を守って散布して頂く事も重要です。
CORTEVAは新しい会社ですが、この船出を受け入れていただきありがとうございます。そして、これからも新しい技術・製品を出す会社だと期待し続けてください。
そして皆さんからの忌憚のないご意見いただきたいと思います。
| 1 | 2 |
(関連記事)
・種子から食卓までがテーマに 国際稲研究会議2018(18.10.24)
・シンガポールで稲の国際研究会議開催 IRRC2018(18.10.15)
重要な記事
最新の記事
-
鳥インフル 英イースト・サセックス州など4州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月22日
-
【JAトップ提言2025】消費者巻き込み前進を JAぎふ組合長 岩佐哲司氏2025年1月22日
-
【JAトップ提言2025】米も「三方よし」精神で JAグリーン近江組合長 大林 茂松氏2025年1月22日
-
「全日本卓球選手権大会」開幕「ニッポンの食」で応援 JA全農2025年1月22日
-
肉の日に合わせお得なアソート「冷凍モスライスバーガー 肉の日セット」登場 モスバーガー2025年1月22日
-
店舗、宅配ともに前年超え 12月度供給高速報 日本生協連2025年1月22日
-
地上部生長から育種ほ場のテンサイ糖収量を予測 農研機構×東京大学2025年1月22日
-
人気キャラクターあさみみちゃんコラボ「メイトーのなめらかプリン」限定パッケージ登場 協同乳業2025年1月22日
-
高知県香南市、高知食糧、東洋ライス 包括的連携に関する協定を締結2025年1月22日
-
高知が誇る最高級メロン「IRODORI(彩り)」デビュー 近澤メロンランド2025年1月22日
-
可変施肥を支援 農業ドローン「AC102」提供開始 NTT e-Drone Technology2025年1月22日
-
ネイチャーポジティブに貢献する人工林管理 定期的な伐採・植林と広葉樹の保持が鳥類保全の鍵2025年1月22日
-
チーズ王国北海道に出会える6日間「北海道地チーズ博2025」開催 ホクレン2025年1月22日
-
ダイズ葉焼病抵抗性遺伝子を特定 米国で利用されてきた抵抗性遺伝子を明らかに 農研機構2025年1月22日
-
スマホ・スマートグラス用農作業補助アプリ「Agri-AR」開発成果を公表 生研支援センター2025年1月22日
-
アニメ『未ル わたしのみらい』オープニング主題歌は「V.W.P」に決定 ヤンマー2025年1月22日
-
消費者協同で提起 日本のエネルギー問題を知るイベント開催 パルシステム2025年1月22日
-
鳥インフルエンザ 愛知で国内40例目2025年1月21日
-
食料安保と気候対応 バイオエコノミーの重要性確認 ベルリン農相会合2025年1月21日
-
米のひっ迫感 「決して健全な状態だと思わない」 江藤農相2025年1月21日