農機技術9課題の研究を開始 農研機構2018年10月22日
農研機構は10月19日、4月に新設した農業機械技術クラスターが9件の課題を選定し、研究を開始したと発表した。
研究課題は(1)地域農業機械化支援タイプ(地域固有の農業機械開発に対応するための共同研究)、(2)革新コア技術実用化タイプ(野菜・果樹等民間における開発を一層加速化するための革新的な実用化技術の共同研究)、(3)次世代革新基盤技術タイプ(次世代の革新的な機械・装置の萌芽となる基本・基盤技術の共同研究)の3つに分類して実施する。
農研機構農業技術革新工学研究センターは4月、「ロボット技術や人工知能(AI)、ICT等を活用した革新的な作物栽培・畜産支援システム、地域作物の収穫自動化等次世代の地域農業を支えるコア技術」、「耐久性向上等による低コスト化」、「農業機械の安全性検査を含めた農作業安全及び仕様・規格の標準化」の研究や関連業務に重点化すべく組織体制を刷新した。
また、異分野を含む民間企業、生産者や指導機関の意見を反映しうる仕組みとして技術クラスターを新たに設立した。
【研究課題】
◆ 二毛作体系に適した水稲乾田直播技術の開発
振動しながら土壌を鎮圧する高速鎮圧機、畝立て機構と播種機構を備えた畝立て乾田直播機を開発し、農業就業人口の急激な減少に伴う規模拡大と生産コストの低減のために、二毛作体系に適する水稲乾田直播技術を開発する。
◆ 高速高精度汎用播種機の現地実証
農業機械等緊急開発事業で開発した高速高精度汎用播種機を用いて、各地の現地実証ほ場において、稲、麦、大豆、牧草、飼料用麦類を対象とした播種試験を行い、作業能率、取扱性、耐久性、出芽率、収量等を調査し、開発機の適応性を明らかにする。
◆大豆用高速畝立て播種機の現地実証と高度利用
緊プロ事業で開発した大豆用高速畝立て播種機の中耕除草同時薬剤散布等の高度利用と他作物への利用拡大を図るとともに、大豆生産者ほ場において同機を利用した栽培体系の実証試験を行い、導入利用の効果を明らかにする。
◆高機動畦畔草刈機の適応性拡大に関する研究
緊プロ事業で開発した高機動畦畔草刈機を用いて、複数箇所の現地試験に供試し、新たな草刈作業体系の確立に向けて、多種多様な条件を有する畦畔や傾斜法面への適応性拡大を図る。
◆野菜用の高速局所施肥機の現地実証と高度利用
緊プロ事業で開発した野菜用高速局所施肥機を用いて、キャベツ以外の葉茎菜類での適用性を検討し、課題の抽出と改良を行う。
◆セル苗を利用したホウレンソウ移植栽培体系技術の開発(ホウレンソウ全自動移植機)
ほ場回転率の向上により収穫量が増加し、所得向上が期待できるセル苗を利用したホウレンソウ移植栽培体系の確立及び展開を図るため、ホウレンソウのセル苗を複数条同時に植え付ける歩行型の全自動移植機を開発する。
◆ニンニク調製の軽労化装置の開発(ニンニク根スリ機)
ニンニク盤茎部分の根スリや出荷調製作業について、安全かつ熟練を必要としない、軽労化の手助けとなる装置を開発する。
◆野菜畑における多年生雑草の物理的防除技術の開発
休耕期間を設けることなく、多年生雑草(ハマスゲ)の塊茎などの栄養繁殖体を収集し、効率的にほ場外へ搬出できる物理的防除技術を開発する。
◆栽培管理用AI ロボットの研究開発
雑草等防除作業に係る労力の省力化や農薬等の使用量削減による環境負荷低減型技術の開発が求められている。そこで、除草作業や防虫害防除などの栽培管理を自動で行う栽培管理用AIロボットを研究開発する。
(関連記事)
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