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【日本穀物検定協会】
農産物の産地認証事業スタート 地域ブランド化の促進へ  穀検

 日本穀物検定協会(穀検)は8月28日、新たに「農産物の産地認証事業」をスタートしたと発表した。生産記録のトレースと理化学分析により、農産物や加工品が特定の産地で栽培・収穫されたことを認証するもので、「地域ブランドづくりや産地の信頼向上などに役立つ」と、JAや地方自治体、生産法人などに利用を呼びかけていく。

 DNA鑑定などにより農産物の品種を特定するサービスは各企業・団体が行っているが、その産地までは特定できなかった。
 穀検では、同じ品種でも施肥などの育成方法、土壌などの土地条件が異なれば、収穫物に含有される元素の濃度や同位体比が異なることに着目した。
 対象地域の農産物を予め調べるとともに、国の調査機関などがとりまとめた全国の地質・土壌分析データなどを元にその地域特性を抽出。認証を受けたい収穫物がそのデータに合致するかどうかを調査する。
 具体的には、蛍光X線分析装置によって塩素、硫黄、銅、カルシウムなど数十種類の元素濃度を、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP?MS)によってストロンチウムと銅の同位体比を調べることで、ほぼ確実に地域と収穫物の同一性を確認できるという。
 対象となるのは米・麦などの穀類、野菜、果樹、キノコ類、海藻などとその加工品で、肉や魚は対象外。穀検の調査員が直接ほ場や加工場へ出向いて検体を採り、書類審査と併せておよそ1週間ほどで分析結果がでる。
 料金は初年度が25万円から、更新料が1年ごとに5万円から。ほ場の面積や地域の広範さ、認証を受けたい作物の種類や数によって料金が異なる。
 「非常に精度が高く、これまでにない認証制度。産地の差別化、高付加価値化に役立ててほしい」(山本徹穀検会長)と、多くの団体・生産者の参加を期待している。

穀検がこの事業のために導入したオランダ製の蛍光X線分析装置(3000万円=左)とドイツ製のICP?MS(8000万円)。ともに穀検東京分析センターで。

(写真)
穀検がこの事業のために導入したオランダ製の蛍光X線分析装置(3000万円=左)とドイツ製のICP?MS(8000万円)。ともに穀検東京分析センターで。


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