【ほしじるし】
麦との二毛作に最適
作物研究所が開発した「ほしじるし」はイネと麦の二毛作が多い関東での栽培に適した品種だ。麦作後でも安定して生産できる多収・良食味の晩植栽培品種で、縞葉枯病への安定した抵抗性がある。麦作後の水田には、縞葉枯病を媒介するヒメトビウンカが飛来することが多いため、麦作後に植える品種はその耐性が不可欠となる。
「ほしじるし」の晩植での玄米収量は10aあたり63?。同じ晩植品種の「月の光」に比べて1割ほど多収だ。炊飯米の食味は「コシヒカリ」に近く良食味なので、業務用への利用も期待できる。また倒伏抵抗性も強いため、湛水直播栽培に最適で省力低コスト栽培用の品種としても有用だ。
【はるもに】
3種類の病害虫に耐性
近年、九州ではウンカ類の被害が増加傾向にあり、主力の「ヒノヒカリ」でも白未熟粒の多発など品質低下が大きな問題となっている。九州沖縄農業研究センター(九沖研)が開発した「はるもに」は、トビイロウンカ、縞葉枯病、穂いもち、への耐性がある。3つの抵抗性遺伝子を持つ品種は日本初の開発だ。
九州の主力品種である「ヒノヒカリ」と同じ中生熟期で、玄米の外観品質、収量性は「ヒノヒカリ」より優れている。高温登熟耐性は「にこまる」に近い。食味は「ヒノヒカリ」と同程度で、病害虫耐性を持つ良食味品種として特別栽培米向けの利用が期待される。
現在、熊本県球磨地域で試作されており、九沖研では環境保全型稲作を行っている団体・農家などをターゲットに普及活動を進める予定だ。
【ゆきさやか】
気温の変化に強い極良食米
北海道農業研究センター(北農研)が開発した「ゆきさやか」は、北海道産米の良食味品種である「おぼろづき」、「ゆめぴりか」の食味レベルはそのままに、両品種の弱点である気温の変化による食味の不安定さを解消した初の品種だ。
低アミロース、低タンパク質が良食味の条件。「ゆきさやか」のアミロース含有率は16.4%で「ゆめぴりか」よりやや高いが、タンパク質含有率は6.0%で「ゆめぴりか」より低い。さらに「ゆきさやか」は、気温の影響を受けにくい低アミロース性遺伝子を持っているため、穂ばらみ期の対冷性が「ほしのゆめ」並みに強い。食味は「ゆめぴりか」と同等だが、炊飯米の白さはより優れている。
北農研では近年評価の高まる北海道産米の評価をさらに向上させる品種として期待しており、すでに道内各地で試験栽培を行っている。
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