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【(独)農環研、日本アルコール産業(株)】
低濃度アルコールで土壌消毒 ポスト臭化メチル対策で期待

 平成25年から、オゾン層を破壊するなどの理由で臭化メチルの使用が全面的に禁止となる。これに代わる新たな土壌消毒技術として、(独)農環研と日本アルコール産業(株)は共同で、低濃度エタノールの利用を研究してきた。9月7日には農環研がホームページでその実施マニュアルや技術資料などを公開。11日には日本アルコール産業が土壌消毒用エタノールの一般発売を始めると発表した。

 具体的な手法は、0.5〜2%ほどに希釈したエタノール水溶液を農地1平方mあたり50〜200リットル(作物と対象病害、土質、地温など条件によって異なる。表参照)を潅水チューブなどで散布し、表面を農業用ポリエチレンシートで2〜3週間ほど被覆するというもの。
試験ほ場での作業風景。散水チューブを設置し、農ポリで被覆している。 エタノール自体には細菌、糸状菌、線虫などへの直接的な殺菌効果はないが、エタノールをエサとする土壌微生物が増殖することで酵素が消費され、さらに農ポリで被覆して土壌に空気を入らなくすることで次第に無酵素状態となり、結果として病原菌・害虫等が著しく減少、または死滅する。
 一方、土着微生物はある程度維持されるため、病原菌による再汚染を長期間抑制できる。
 また、エタノールは農薬ではないので、成分数のカウントには含まれず、また住宅地や公共施設の近隣でも使いやすいなどのメリットがある。
 日本アルコール産業では、4月から、試験場などを対象に土壌消毒用エタノール「エコロジアール」を試験発売してきたが、今回の発表を機に一般発売を始める。
 「エコロジアール」はエタノール含有量65%の水溶液で、20リットル入りのバッグインボックスで販売。希望小売価格は3500円(税込み)。
 農環研の試算によると、この価格で、そのほかの光熱水費、散布にかかる機器なども含めると10aあたり11万〜22万円ほどかかる。ポスト臭化メチルとして土壌消毒に使われているクロルピクリン、ダゾメット、D―Dなどに比べるとかなり割高になるが、「農薬ではないということと、軽作業で労力がかからないというメリットがある。需要がどれほどあるかわからないが、商系だけでなく各地のJAや経済連などを通じて販売ルートを広げ、低コスト化をはかり普及していきたい」(同社新規事業部)としている。
 技術資料については、農環研ホームページで。「エコロジアール」の問い合わせは日本アルコール産業【TEL:0120-009-484】まで。

低濃度アルコール消毒の濃度と施用量


(写真)
試験ほ場での作業風景。散水チューブを設置し、農ポリで被覆している。


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