決議ではTPPは関税撤廃が原則であり、農林水産業と農山漁村に「これまでにない壊滅的な打撃を与え」、食料自給率が低下するだけでなく、地域社会の崩壊を招くおそれがあることだと強調し、政府の交渉参加に向けた関係国との協議入りの方針には、各界各層から強い懸念が相次いで示されている、と指摘している。
◎決議全文
【環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に向けた関係国との協議に関する件】
本年11月11日、野田内閣総理大臣は「TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る」ことを表明した。
しかしながら、TPPについては、政府からの情報提供及び国民的議論とも不十分であると言わざるを得ない状況であり、先のAPEC首脳会合において交渉参加を表明することに対し、各界各層から強い懸念が相次いで示されたところである。 TPPは原則として関税をすべて撤廃することとされており、我が国の農林水産業や農山漁村にこれまでにない壊滅的な打撃を与え、食料自給率を低下させ、地域経済・社会の崩壊を招くおそれがある。さらに、TPPにより食の安全が脅かされるなど国民生活にも大きな影響を与えることが懸念される。
よって、政府は、TPP交渉参加に向けた関係国との協議を行う場合には、左記の事項に留意することを強く求めるものである。
記
1.交渉参加に向けた関係国との協議により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。
2.交渉参加に向けた関係国との協議は、国益を最大限に実現するため、政府一体となって慎重に行うこと。その際、国益を損なうことが明らかになった場合には、政府は交渉参加の見送りも含め厳しい判断をもって臨むこと。
3.交渉参加に向けた関係国との協議を進める中においても、国内農林水産業の構造改革の努力を加速するとともに、協議の帰趨いかんでは、国内農林水産業、関連産業及び地域経済に及ぼす影響が甚大であることを十分に踏まえて、政府を挙げて対応すること。
4.我が国は自由貿易の推進を対外通商政策の柱とし、様々なEPA・FTA、地域協定のメリット、デメリットを検討し、メリットの大きなものについては積極的に推進するとともに、これによって打撃を受ける分野については必要な国境措置を維持し、かつ万全な国内経済・地域対策を講じてきたところである。今後とも、我が国のとるべき戦略について精力的に構築すること。
右決議する。
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