23年度は東日本大震災と原発事故の影響により直前で入学を辞退する人がいたり、校内でつくった食肉加工品や感謝祭の売り上げの一部を被災地へ寄付するなど、さまざまな形で震災への対応に追われた1年だった。その中で18歳から58歳までの実に幅広い年齢の18人が、教育課程232日間、教育時間1674時間の職業訓練過程を修了し、この日卒業した。
同校の工藤信理事長(JA全農経営管理委員会副会長、JA青森中央会会長)は、「ともに喜び、ともに悩み、ともに学ぶという心豊かな人間形成を体得努力した」と一年間の努力を褒め、卒業生へのはなむけとして「盛年重ねては来たらず」で始まる漢詩を贈った。
山中暁校長は「新たな食肉文化の創造者をめざしてほしい」と送辞を贈り、18人の卒業生1人ひとりに「肉のさばきは、お前の好きな音楽のリズムでやるんだ」、「茶道の次は肉道を極めろよ」などと声をかけながら卒業証書を手渡した。
学生長の谷慎太郎さんは、「多様化する消費者ニーズに応え、消費者の信頼を獲得し、食肉消費の促進をはかりたい」と答辞を述べた。
18人の卒業生らは、それぞれ家業を継いだり、食肉関連企業に就職するなどの進路を決めている。
(写真)
上:工藤理事長
下:答辞を述べる谷さん(右)と山中校長
◇
卒業生に贈られる表彰・褒章は次の通り(敬称略)。
【優秀賞】
▽農水省生産局長賞 谷慎太郎(京都)
▽群馬県知事賞 中峰重樹(和歌山)
▽農畜産業振興機構理事長賞 小林真人(千葉)
【技能賞】
▽群馬県職業能力開発協会長賞 吉本昌文(熊本)
▽同 長沼佑樹(群馬)
▽山下拓郎(大分)
【努力賞】
▽遠矢武三(鹿児島)
▽渡貫修央(千葉)
▽羽柴知樹(大阪)
▽平田康裕(埼玉)
(関連記事)
・BSE対策の見直し、評価項目を決める 食品安全委員会 (2012.02.29)
・18人の学生が技術・知識を披露 春恒例の感謝祭が大盛況 全国食肉学校 (2012.02.28)
・放射能汚染への万全の対策を 畜産審議会で意見 (2012.02.17)
・JA全農の輸入農畜産物取扱実績 (2012.02.09)