◆戸別所得補償制度は24年度と同額
農業者戸別所得補償制度は今年度と同額の6901億円とした。
生産数量目標に従って生産する農業者に10aあたり1.5万円を交付する米の所得補償交付金は1700億円。販売価格が標準的な価格を下回った場合にその差額を交付する米価変動補てん交付金は300億円を要求した。
そのほか水田転作に対する水田活用の所得補償交付金は2507億円、畑作物の所得補償交付金が2123億円などとなっている。
また、地域で中心的な経営体を決め、そこに農地利用を集積させようという対策を戸別所得補償経営安定対策事業として85億円を要求した。
このうち農地の出し手に対する交付金である農地利用集積協力金は今年度と同額の65億円を要求。25年度は樹園地や野菜畑など土地利用型農業以外の経営継承も交付対象とする。
◆人・農地プランの策定支援で新規事業
また、新規事業として「地域農業支援組織連携強化活動」を盛り込んだ。
これは地域内の合意形成によって人・農地プランを策定していく際に市町村が必要とする人員補充を支援する予算。担当する地域の事情に精通した普及員OBやJAのOBなどを話し合いと合意形成のために必要な人材(地域連携推進員)として雇用する場合の経費を支援する。また、農地集積を進めるための農地情報の地図化や、関係機関が一体となって拠点を設置する、いわゆるワンフロア化も支援する。農水省は人・農地プランづくりに取り組む現場から「マンパワーが不足している」との声を受けこの支援策を盛り込んだという。
そのほか、農地集積のための対策として、戸別所得補償制度の規模拡大加算も位置づけている。予算額は今年度と同額の100億円。農地利用集積円滑化事業によって新たなに利用権を取得して規模拡大した場合、その拡大面積に対して10aあたり2万円が交付される。 そのほか、中山間地域直接支払い制度でも「人・農地プラン」の策定を促進する加算措置を導入する。集落の農地維持などの活動のための集落協定を結びこの制度による直接支払いを受けている集落が、この制度に取り組んでいない集落と連携して集落協定を締結し、その集落の活性化を担う人材の確保、受け入れなどを行う場合は交付額を加算するというものだ。
中山間地域直接支払い制度は、対象となる農用地の約8割の68万haで活用されている。要求額は276億円。
◆派遣研修にも経費助成
今年度から実施している青年層へ農業に新たに従事してもらう意欲をもってもらうとともに就農後の定着を図るための新規就農総合支援事業は、349億円を要求した。
青年就農給付金は就農前の研修期間中に年間150万円を最長2年間給付する「準備型」で64億円、就農後、同額を最長5年間給付する「経営開始型」で171億円を要求した。
また、法人に就農した場合、法人の雇用事業を支援する研修経費助成(最長2年間、年間最大120万円)は、25年度は先進法人や他産業へ研修派遣する経費も新規の追加メニューとした(月最大10万円、最長2年間)。要求額は93億円。
そのほか農業経営者を育成する教育のレベルアップのための助成措置も今年度と同様に盛り込んだ。
◆6次産業化と再生エネルギー
農林漁業の6次産業化、成長産業化も特別重点要求項目とした。 政策目標は6次産業の市場規模を22年度の1兆円から27年度には3兆円、32年度には10兆円とすること。
今国会で成立した6次産業化ファンド法に基づき設立される(株)農林漁業成長産業化支援機構には、250億円の出資と100億円の融資を行う予算を要求した。
6次産業化を先導する人材の育成と多様な業種と連携した新商品開発や販路開拓、地産地消などを支援する予算として51億円、農林水産物の加工・販売のための機械、施設などの整備支援のために19億円などを要求している。
再生可能エネルギー対策では、発電事業による収入を地域の農林漁業の発展に活用する地域還元モデル構築を支援する事業や、小水力発電導入のための調査設計などの支援、施設園芸における木質バイオマス利用加温設備等のリース導入支援などを盛り込んだ。これら農産漁村再生可能エネルギー導入促進対策は283億円を要求した。政策目標は大規模水力発電を除いた再生可能エネルギーの割合を今後3年間で3倍にすることを掲げている。
そのほか女性が中心となった食品開発など「食」を活かした手づくり活動や、豪雪・鳥獣被害の防止活動など暮らしの再生活動を支援する農村地域力発揮集落連携推進対策など地域コミュニティの再生支援で270億円を要求している。
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