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マイナー作物の農薬登録拡大 県内外での連携強化が大事

 マイナー作物の生産振興は地域にとって大きな課題だ。しかし平成14年の農薬取締法改正によって使える農薬が少なくなった。現在は、主な産地を抱える都道府県が中心となり、農薬登録の拡大をすすめているが、人員やコスト面などさまざまな問題がある。9月11日に農水省が開いたフォーラムから、現場での取り組みや課題などを紹介する。

フォーラムには全国から150人ほどが集まった。 マイナー作物とは国内での年間生産量が3万t以下の農作物をさし、アスパラガス、シソ、パセリなどもこれに属する。全国的には少なくとも、品目によっては地域の農業生産を支える基幹作物になっているものもあり、その生産振興は重要な課題だ。
 例えば愛知県では、農業生産額3000億円の約3%となる91億円がシソで、これは品目別では同県9位。ほかに食用キク、ハーブなどのつまもの類やミツバなどで合計60億円ほどの産出額があり、また、これらの収穫・調整作業で多くの雇用も創出している。
 この生産を守ろうと、県では、JAあいち経済連、愛知県農薬卸商組などと協力してマイナー作物の農薬登録を推進する協議会を15年に設立。試験のための基金設立、JAによる試験ほ場の提供、生産者を動員しての登録試験、などを積極的に行い、毎年必ず20剤以上の試験を実施。24年8月までで実に222剤の登録拡大を実現した。
 今年からは、「拡大だけでなく維持も大事だ」との考えから、県の普及課とJAが主体となって、微生物や物理的防除も交えたIPM防除体系の導入推進を図るという。これは、せっかく登録をしても、薬剤抵抗性が発現し有効活用できなかった剤が実際にあったからだ。
 各県ともに登録拡大のための人員やコストは減らされており、こうした連携と、それをスムーズに行うための仕組みが必要となるだろう。
 フォーラムでは、そのほかの課題として、「現場からあがってくる要望を見ると本当に必要なのかと考えてしまうものもある。まずは県や試験場と相談してほしい」(JA全農)、「ある程度生産量の多い品目なら、単独県での試験にこだわらず複数県で作業を分担して共同試験をすすめてほしい。使いたい生産者がいるなら、ぜひ登録拡大したい」(農薬メーカー)との意見が出た。また、農薬メーカーに対して「ADI(1日許容摂取量)の数%をマイナー作物用に別枠でとっておいてほしい」(県の担当者)との要望もあった。
 一方、政府では、7月31日に閣議決定した「日本の再生戦略」の「食と農林漁業の再生」の中で、6次産業化・成長産業化の戦略の1つとして、地域特産作物の農薬登録拡大を掲げている。25年度の予算概算要求ではそのための試験に対して年間5600万円の助成金を出す。29年までの5年間で新たに600件の適用拡大をめざすとしている。

農薬登録拡大に必要な試験

(写真)
フォーラムには全国から150人ほどが集まった。


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