消費税は患者が支払う医療費にはかからないが、一方で医薬品などの仕入れには課税される。そのため厚生労働省は仕入れにかかる消費税負担分を診療報酬に上乗せする改定を行ったとしている。しかし、この補てんは十分ではないのが実態だという。
JA厚生連病院の場合、支払った消費税額は167億円(仕入れ税額)。一方、患者から受け取った消費税は自由診療や分娩など課税対象の医療行為からの24億円分となっているが、消費税を納める際には、非課税売り上げが含まれる場合(医療は基本的に非課税)の控除額規定が適用される。その割合は仕入れ税額の6.53%(167億円×6.53%=11億円)とされているから、控除額は13億円(24億円―11億円)となる。そこで実際に支払わなければならない額は154億円(控除対象外消費税)となってしまう。
厚労省はこれを補てんするために診療報酬に上乗せしたとしているが、JA全厚連によるとその額は107億円に過ぎず47億円が持ち出し分、すなわち損税となっているという〈167億円(仕入れ税額)―13億円(控除額)―107億円(補てん額)=47億円〉)。
こうしたことから、払い戻し制度の創設や現行制度の見直しにより、患者の負担を増やすことなく医療機関が負担している損税を解消するよう要望していく。この取り組みは全国公私病院連盟や日本医師会などの医療団体と連携し、国会議員に対しても要請していく。JA全厚連では損税解消の具体的方策を年度内にまとめることにしている。
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