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【最新の飼料情勢】 需給は引き続きひっ迫状況

 12月12日の米国農務省の発表では2012/13年度の米国産トウモロコシの期末在庫率は5.79%で需給は引き続きひっ迫状況が続いている。
 米国の需要見通しをみるとエタノール需要は45億ブッシェル(1ブッシェル=約25.4kg)で全需要の40%と過去最大になり、米国内の飼料需要や輸出需要よりも多い。

◆史上最低の在庫率

 12月12日の米国農務省の発表では2012/13年度の米国産トウモロコシの期末在庫率は5.79%で需給は引き続きひっ迫状況が続いている。
 米国の需要見通しをみるとエタノール需要は45億ブッシェル(1ブッシェル=約25.4kg)で全需要の40%と過去最大になり、米国内の飼料需要や輸出需要よりも多い。
 エタノール生産量は139億ガロンまで増えた。07年エネルギー法で定められた使用義務(RFS)は2015年に150億ガロンとされており、あとわずかで達成する勢いだ。
 今後、大きな政策上の変更がない以上はエタノール向け需要が減ることはないとみられており、再選されたオバマ大統領も現在の目標は堅持するという姿勢を示している。
 こうしたなか米国産トウモロコシの輸出の動きは鈍い。米農務省の11億5000万ブッシェルとの見通しを出しているが、同時に公表された9月以降の輸出成約高はこの3か月、見通し量を大きく下回る状態が続いている。これは大干ばつによる大幅な生産減で米国産が高騰を続けていることから、輸入国は他の国からの調達に向かっていることの現れでもある。

米国産とうもろこしの需給見通し

◆輸出の米国シェア急減

 では、世界全体のトウモロコシ需給はどうなっているのか。
 12/13年度は中国の生産量が史上最大となる一方でアルゼンチンの生産量は作付けの遅れで下方修正された。そのため期末在庫率は13.6%と史上最低水準の見通しとなっている。その在庫量は1億1760万tだが、そのうち中国が6000万tを占める。割合は51.1%と半分以上を占める。米国の割合は05/06年時点では40%を超えていたが、14%に低下する見通しだ。
 中国は国内のトウモロコシ需要が急増しているため、この在庫は世界市場には出てこないと考えられる。したがって、実際に調達できるトウモロコシは在庫率見通し13.6%の半分以下しかない状況だといえる。
 こうしたなか輸出については米国産のシェアが4、5年前までは6割を超えていたが、ここ数年不作が続き12/13年度では32%まで低下する見通しとなっている。こうしたなかで日本の輸入実績でも米国のシェアは低下し、08年までは93〜98%を占めていたのが今年は69%(4月―10月実績)まで減っている。10月だけでは50.6%まで低下した。JA全農によるとこの傾向は来年3月までは続き、その後は米国の新穀の作柄次第だという。

米国産とうもろこしの需要構造の変化

◆中国の動向にも注視

 中国は大豊作だったことや国際価格の高騰でトウモロコシ輸入量は前年度の500万tから今年度は200万tに下方修正された。ただし、中国国内の需要の伸びは著しく、米国農務省の発表ではこの1年間で2100万tも増えている。
 そのため中国が輸入を拡大する可能性はあり、米国農務省は10年後にはトウモロコシで日本の飼料用トウモロコシ輸入量の1200万tを大きく上回る1800万tの世界最大の輸入国となると予想している。
 そのため来年、世界のトウモロコシが豊作で国際相場が下落すると、中国が在庫の積み増しに走る可能性もある。
 JA全農の米国でのさらなる取り扱いの拡充、産地多元化や大型物流への対応などの飼料原料購買事業の強化策が一層重要になっているといえる。

中国の穀物輸入拡大

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