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【データで見る小売業界】食品スーパー 確実に伸長している惣菜部門の売上

 本紙では「データで見る小売業」として、これまで百貨店、コンビニエンスストア(CVS)、量販店について、それぞれの業界団体が公表するデータに基づいて月次の売上動向を掲載してきた。
 しかし、「スーパーマーケット」業界には、「量販店」としてすでに掲載している「日本チェーンストア協会」(JCSA、清水信次会長)の他にも、「新日本スーパーマーケット協会」(NSAJ、横山清会長)、「オール日本スーパーマーケット協会」(AJS、荒井伸也会長)、「日本スーパーマーケット協会」(JSA、川野幸夫会長)がある。それぞれ独自の活動を行っているが、NSAJ、AJS、JSAの3協会は売上統計などを合同集計して公表している。
 そこで本紙でも今後この3協会の合同集計についても伝えていくことにし、今回はこの1年の動向について掲載する。

◆売上の85%は食品

 この3団体の加盟社はNSAJが412社(2010年8月現在)、AJSが57社(11年9月現在)、JSAが100社(09年9月現在)となっているが、JCSAを含めて、複数の協会に加盟している企業もある。
 売上の規模は、下図のように3協会で毎月8000億円前後から9000億円強となっている。
 なお、合同集計にあたっては、重複加盟企業については調整して集計されている。10年7月から11年6月は確定値、11年7月は速報値となっている。速報値の集計企業数は約280社、確定値は約310社となっている。
 また、図1でもわかるように総売上の85%前後が「食品」となっているのがJCSAとは異なる大きな特徴だといえる。
 下図の折れ線グラフは、全店ベースの対前年同月比で、これをみるとこの1年間前年同月水準を上回る売上実績をあげていることがわかる。しかし、既存店ベースで見ると11年の4月6月の3カ月は総売上高、食品売上高ともに前年同月を2%から0.2%割り込んでいる。
 東日本大震災で店舗が全壊・半壊などの被害を受けた会員社や停電などで冷凍食品などの商品被害も多数の店舗で発生したが、売上は社会不安による買占め、買いだめなどの影響で、各社ともに3月はグロッサリーを中心に伸びた。
 4月に入りそうした影響が沈静化したことと、道路状況やガソリン不足から物流が混乱し十分な品揃えができなかったこと、花見や行楽の自粛などが売上に影響。5月も震災の心理的な影響から自粛・買い控え傾向が続き高単価商品の動きが鈍かったといえる。

総売上高、食品売上高推移

(図をクリックすると大きくなります)


◆天ぷら・揚物、簡便なサラダが好調

 下グラフは食品の分野別に見た対前年同月比を見たものだが、青果、水産で震災の影響が顕著に現れていることがわかる。
 また惣菜部門が一貫して前年水準を上回って推移し、食品売上に占める割合も10%前後となっていることも大きな特徴だといえる。
 これは量販店やCVSでも見られることだが、節電で家庭内の空調をコントロールしていることや、家庭内調理時間短縮などから、天ぷら・揚物中心に惣菜売上が堅調に推移している。さらに、簡便商品であるサラダ、冷やし麺、スナック類も好調だという。
 一方で、7月に入り稲わらのセシウム問題が起こり、牛肉は和牛・国産牛がともに落ち込み、輸入牛を拡販するも牛肉売上は回復せず、豚・鶏肉へシフトしているという。今後、この影響がどう出てくるのか注目される。

食品分野別前年同月比推移

(図をクリックすると大きくなります)


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(2011.09.15)