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課題は高付加価値化や差別戦略 「工場野菜」などで消費者の志向調査  日本政策金融公庫

 日本政策金融公庫農林水産事業は平成23年度第2回消費者動向調査結果の概要を3月14日発表した。

 消費者の食の志向を4テーマに分け、1月1〜20日間、インターネットでアンケート調査した。全国の20〜70歳代の2000人(男女各1000人)を対象とした。
 【食に関する志向】を聞いたところ、「健康志向」が46%で、平成20年1月の調査開始以降、最も高い割合だった。とくに50〜70歳代で圧倒的に高く、高齢層の重大な関心が反映された。
 一方、大震災後の調査(23年7月)で急増した「安全志向」は、今回は低下したが、依然として高い水準のままとなっており、放射性物質や食中毒などへの不安感が残っていることがわかる。
 「経済性志向」は、わずかに減少傾向だが、根強い節約傾向が続いている。
 【宅配サービス】については、利用する理由を聞いたところ、生産者からの直接配送は「品質が優れているから」が圧倒的に多かった。またスーパーやコンビニ、生協の宅配サービスを含めて「買物に出かけずにすむから」「重い食材を運ばずにすむから」という理由も多かった。
 【植物工場】については76%の消費者が認知しており、前回調査(21年7月)から7ポイント上昇した。最近の野菜価格高騰や原発事故に対する放射能対策などで注目を集めていることが背景にあると考えられる。
 買った経験のある消費者は約2割であり、前回調査より8ポイント増えているものの、いまだ多くの消費者に受け入れられていないことがわかった。
 植物工場の野菜は▽安全性▽見た目▽環境への配慮▽高級感の面で、通常の野菜より優れているというイメージが持たれている。とくに安全性のイメージが前回調査より大きく高まり「完全密閉」「無菌状態での栽培」といった特性が優れていると認識されている。 今後については、約5割の消費者が通常の野菜より安ければ買うと回答している。このため購買層を増やすには低価格化が課題となる。また販売ターゲットの設定や商品の差別化戦略も重要だ。
 【輸入食品】については「よく購入する」「たまに購入する」などを合わせた回答が5割を超える。購入は果物、牛肉、魚介類、小麦製品など。
 しかしコメについては「まったく購入したことがない」「購入しない」などを合わせると約7割となる。
 輸入食品の購入理由は「安い」からだが、とくに肉類は約7割にのぼる。一方、菓子、乳製品、酒類は安さよりも「おいしさ」を理由にしており「国産より割高」で購入する割合が多い。
 輸入品を買わない理由は「安全性に問題がある」が多い。買わない消費者のうち「今後も購入しない」との回答は6〜7割を占める。

植物工場で栽培された野菜に対するイメージ

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