◆経営多角化進むほど、直売率高い
平均売上高2億6000万円で常時従事者数は16.4人、経営者の年齢は57歳というのが会員農業法人の平均的な姿だ。
回答法人の7割以上は、農業生産部門に加えて直売、加工、観光といった多角経営を展開し、6次産業化に取り組んでいる。
回答者の業種は▽稲作31%▽野菜21.7%▽その他耕種など25.5%▽畜産22%。
平均売上高は2億6000万円で前年(2010年)に比べ7%の増加。稲作の平均売上高は7400万円(稲作法人の平均経営面積は42.6haと規模拡大が進んでいる)。野菜は1億8800万円など。
畜産の平均売上高は7億4000万円で、1億円以上が8割以上を占める。
また全体として、経営の多角化が進むほど消費者への直売の割合が高まっている。
経営課題は▽生産性の向上(64%)▽コスト対策(48%)▽品質向上(42%)▽販路開拓(41%)が上位を占める。 情報通信技術の活用で解決している経営課題は「農産物の安心.安全の見える化」が20%と最も多い。
海外商談会への参加経験があるのは46社。輸出を実施中.経験ありが55社。
トラクターの所有は1社あたりの平均台数が4台。
過去1年の経営の状況が「悪くなった」と感じている法人の割合がわずかに減っている。また「収支実績」と「資金繰り」で、「悪くなった」が1ポイント程度減少した。一方、経営見通しは「悪くなる」という回答が減少している。
◆戸別所得補償、5割以上が「維持すべき」
この実態調査では、農政への意向なども調査した。
平成23年度の戸別所得補償制度については「そのまま続けるべき」「骨格は維持すべき」が合わせて55%となり、業種別でみると、稲作で「そのまま続けるべき」「骨格は維持すべき」が75%と高率だ。
2011年導入のコメの先物取引は「歓迎しない」が29%で、「歓迎する」の11%に差をつけた。稲作でみると、「歓迎しない」43%、「歓迎する」13%で、歓迎の理由には「価格決定が透明化する」などが目立つ。
六次産業化計画の認定は、認定あり、が47社となり、申請・検討中は193社。
政策支援が必要な分野は1位が施設・機械の整備で58%、次いで人材育成46%、農地の取得32%、販路開拓30%となり、ハード面への支援に対する期待が大きい。
売上規模3億円以上では人材育成への支援が1位となっている。
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