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生物多様性への影響みられず 広がっていない生育範囲  遺伝子組換え植物実態調査

 農水省は「平成23年度遺伝子組換え植物実態調査」の結果を9月12日発表した。

◆在来種との交雑なし

 ナタネについては前年までと同じく遺伝子組換え体の生育範囲の拡大は見られなかった、また遺伝子組換えダイズとツルマメの交雑体も見られなかった。
 遺伝子組換えセイヨウナタネは苫小牧、千葉、横浜、名古屋、四日市、神戸、宇野、博多の8港周辺地域の計90地点(セイヨウナタネ採取地点数の40%)で生育していた。
 そこでは単独での生育か、または非組換えカラシナや在来ナタネと混生していた。
 ダイズは博多港の周辺4地点で生育していた。採取した9個体のうち4個体(採取したうちの44%)が遺伝子組換えダイズであり、それぞれグリホサート耐性遺伝子を持っていた。
 ツルマメは鹿島、千葉両港の周辺4地点で見つかり、鹿島の1地点では複数の個体が群生していた。合計12個体のツルマメすべてから、除草剤耐性タンパク質は検出されず、遺伝子組換えダイズと交雑したツルマメはみられなかった。


◆大豆の栽培面積9割がGM 米国

 農水省は遺伝子組換えセイヨウナタネや同ダイズについて運搬時にこぼれ落ちて生育しても、生物多様性への影響はないと評価して輸入を認めているが、一方、カルタヘナ法に則って予想しない影響が生じていないかを18年から調べている。
 今後、23年度まで3カ年分の総合分析の結果をまとめて公表する予定。

 実態調査結果は基本的情報についても紹介している。
 遺伝子組換えダイズの開発と栽培についてみてみると、近年、特定の除草剤に対して耐性を持つダイズが開発された。
 これは特定の除草剤を散布した場合、雑草など他の植物は枯れてしまうが、組換えダイズだけは枯れないというもので効率的に除草できる。
 組換えダイズは海外で商業的に栽培されているが、主な輸入相手国の米国では平成8年に作付けが開始され、同19年に栽培面積の9割以上が組換えダイズとなった。
 現在までに我が国に輸入されている、その多くは除草剤グリホサートに対して耐性を持つものだ。


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