【リレー談話室・JAの現場から】仕事への思い伝える2018年6月20日
就活戦線からみるJA
人事の仕事の1つに採用広報活動があります。一言でいえば組織に相応しい人材を発掘し、採用に繋げる活動全般を指すものですが、少子高齢化からくる労働人口の減少にともない、人材確保は年々厳しさを増しています。ここ最近頻繁にメディアで報道されている「就活現場の売り手市場」は、採用担当者なら誰しも肌身で感じるところでしょう。
採用広報活動は学生の関心を高め、採用エントリーの母集団を形成することが第一歩となるため、昨今どの業界も精力的に会社説明会や学生インターンシップ受入を行い、学生との接点を増やしています。
特にJAは、多種多様な事業を展開する総合事業方式が大きな特徴で、行政機関とも民間企業とも違う「協同組合」の理念を理解してもらうために、就活生へ相応の説明時間を確保することは、採用後のミスマッチを防ぐうえでとても重要となります。
これは人事課に所属してから実感したことですが、「JAとは何か」という根本的なテーマを伝えることは意外なほど難しいです。毎回、JAを理解してもらうために「地域貢献」「農業所得増大」「自主自立・民主的運営」といったキーワードを駆使して説明しますが、概念的な説明に留まり、いま一つ手ごたえを感じず、やや消化不良。自己改革にも通じることですが、今後の課題として、組織の目的に基づき、我々は「何をしているのか」「どういった思いで働いているのか」「今後どうしていくべきなのか」といったメッセージをしっかり発信できれば、より理解を深めてもらえるのではないかと考えます。
学生とのコミュニケーションの質も大事で、組織の理念や概要を説明することはもちろん、学生の目からは担当者の熱意や表情を通して職場の雰囲気や自分がそこで働く姿をイメージします。
今後一層、採用広報は深化・高度化が求められる中、今年度は、近隣大学で開催される合同企業説明会や本店で開催したJA水戸採用説明会は、すべて若手職員が中心に企画・運営しました。
特に本店で開催した採用説明会は、事業説明、座談会、アイスブレイクを目的としたイチゴの食べくらべクイズなど、フレッシュで垢抜けた説明会となり、参加学生からは「今まで参加した中で一番明るく楽しい雰囲気だった」との感想をいただき、組織のやや堅いイメージをいい意味で覆せたのではないかと思います。
採用広報でエントリーしてくれた学生の選考プロセスでは、JAの事業活動に関心が強く、我々が「一緒に働きたい」と思える人材を面談やグループワークなどを通して判断するものですが、目的はそれだけではありません。
JAは地域密着型の組織であり、前述のとおり経済事業から信用・共済事業を行う総合事業方式であることから、必然的に公務員、小売業、金融機関などに就職を希望する就活生の受け皿としての位置づけは根強いものがあります。
そこで選考プロセスでは、採用したいと判断した就活生に対し、選考結果をしっかりとフィードバックし、「組織に必要な人材」であることを自覚してもらい、働く動機付けに繋げることが大きな目的といえます。
採用担当として、ずばりJAの強みは、「自分の生まれた地域や農業に貢献したい」「安心・安全な食べ物をたくさんの人に提供したい」など、ある種、すべての人にとって普遍的な希望を叶えるための組織であることです。
最後になりますが、採用広報活動も自己改革も、最終的には我々は選ぶ側ではなく、選ばれる側という意識をもって取り組むことが重要なのではないでしょうか。
自己改革では、組合員が主役という大原則に立って組織の強みを発揮し、弱みを克服していくこと、そして組織の使命を組合の内外に発信していかねばなりません。そして、組合員や地域の方々との壮大なコミュニケーションとの思いで「あるべき姿」を追求し、採用活動では夢と希望を持てる職場としてこれからも臨みたいと思います。
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