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【熊野孝文・米マーケット情報】野菜の主食化を提案する商品が登場2018年10月30日

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【(株)米穀新聞社記者・熊野孝文】

 キャベツライスという商品が10月31日から全国の量販店等で販売されることになった。一般紙にも取り上げられているので、ご存知の方も多いと思われるが、コメ業界にとってはまた新たなライバルが出現したということを意味しているので、まずどんな商品なのか紹介したい。
 この商品を販売する㈱サラダクラブ(東京都調布市 荻芳彰社長)によると、キャベツの芯をコメ粒程度の大きさにカットしたもので、商品はコメ感覚で食べる「キャベツライス」(130g100円)とカレーとセットになって温めて食べるトレータイプの「キャベツライスdeカレー」(200g276円)の2種類がある。
 この商品は、糖質が気になる人向けにコメや麺など主食に置き換える「野菜の主食化」を提案する商品で、キャベツの芯をコメ感覚で食べる商品は国内初だという。加熱後もほのかな甘みとシャキシャキ感が残るため炒飯やオムライスなど主食のメニューにも使えるとしている。糖質は130g当たりコメに比べ16分の1の3g、カロリーは12分の1の26kcalである反面、食物繊維は約10倍の3.8g。キャベツの芯にはアミノ酸や甘み強度の高い糖質スクロースが多く含まれているとしている。同社は、委託工場も含めて国内に17工場を有し、量販店等1万5000店舗にカット野菜を供給する最大手で、月間5万パックのキャベツライスを販売する計画。
 冒頭に「また」と記したのは、以前このコラムでも紹介したようにコメの代替商品として大根をシャリの替わりに使った大手回転寿司チェーンの事例を思い出したからである。この代替商品も糖質カットがウリであった。
 以下の内容は、商社系コメ卸が取引先を招いて「コメの重要性」について知ってもらおうと開催した講演会で、一般社団法人日本健康食育協会の柏原ゆきよ代表理事が講演した内容をとりまとめたものである。
 熱を生み出す「燃焼力」、どんどんつかう「代謝力」、しっかり出す「排出力」が大事で、これを可能にするのが「胃腸力」で食事のバランスと胃腸の状態の重要性を強調した。次に戦後から今日までの日本人の一日当たりのカロリー摂取量のグラフを示し、戦後すぐは食料が乏しく1903kcalしかなかったが、1975年には2226kcalまで増加、ピークを迎えた。ところが2010年には1846kcalと戦後すぐよりも少なくなった。熱をつくるカロリーは生命活動の基本で、低体温になると一度で免疫力30%落ちるためローカロリーはリスクが高い。低カロリーとともに問題なのは、現在は脂質から摂るカロリーが増えていることでマッチ棒に譬えると燃えにくいカロリーの摂り方になっている。そこで重要な存在となるのがご飯の存在で、ご飯の脂質はわずか2%で、パン15%、クロワッサン50%に比べて極めて少なく、燃えやすい食べ物であり、そこに着火剤の役割を果たす雑穀を加えるとより燃えやすくなるとし、一日の目安として茶碗1杯150gとして5杯プラス雑穀大匙3杯とした。
 柏原代表は参加者に一日ご飯を3杯以上食べている人に挙手を求めたが、100人以上いたものの15人位しか手が上がらなかった。そこで一日ごはん5杯というのは、厚生労働省が理想としている1975年の男性が食べていたご飯の量であると種明かしをした。とくに朝は脂質の少ない食事をすることがポイントで、コメにはタンパク質も入っており、これにアミノ酸が豊富な大豆を摂取することで理想的な食事になるとし、自身がアドバイスしてご飯中心の食事に切り替えた競輪選手とボクサーの写真を示し、競輪選手は2ヵ月で18kgの減量になり、ボクサーは減量によるリバウンドが無くなりメンタル面も大きく変わったとした。
 ポイントとなる「胃腸力」を上げるには、きちんと食事をとることで、食事は体内のエクササイズと言え、体の中の運動と外の運動で健康になる。中の運動を増やすためには食事の回数と噛む回数が大切で、噛むことによって消化酵素と若返りホルモンを含む唾液が分泌され、健康効果、老化防止、美容効果が得られる。燃やす力を上げ、消費を増やし、出してくれるという胃腸力を上げるナンバーワンの食材が「コメ」で、コメは胃腸を鍛えるダンベル。そのベストパートナーはみそ汁だとした」
 コメ業界にいるものにとっては素晴らしいとしか言いようのない講演会で、こうしたコメの重要性を強調する講演会が多く開催されているが、残念ながらコメの消費量が増える兆しは一向に見えてこない。

 

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