多収米で2つの新品種育成 農研機構2018年2月20日
・「秋はるか」と「歓喜の風」
農研機構九州沖縄農業研究センターは、2月19日、多収が期待できる新しい水稲2品種の育成に成功したと発表した。
「秋はるか」は、暑さや病害虫に強い多収米。早生でいもち病に強い良食味の「泉2121」と穂いもち病や縞葉枯病、トビイロインカの抵抗性を併せ持つ多収の「泉2507」を交配して生まれた。
交配は2007年から始まり、育成成功までに10年以上を費やした。
名前の由来は、秋に稲穂が遥かかなたまで広がる風景をイメージして付けられた。栽培適地は高標高地を除く東海以西の地域で、現在、佐賀県や静岡県などで試作が行われている。
秋はるかの最大特徴は、高温登熱耐性品種の「にこまる」よりもさらに暑さに強いこと。また西日本で問題となっているトビイロウンカにも強い。多収性については、西日本の代的なブランド「ヒノヒカリ」よりも約15%多く、低コスト栽培に適した品種として、特に西日本での需要が期待できる。
「歓喜の風」は、稲と野菜の二毛作地域に適した早生と多収が特徴。耐倒伏性の強い「ふくいずみ」と極早生で多収、玄米外観品質にも優れる「あきさかり」を交配(2005年から)してできたもの。名前は、生産者が待望の品種ができたことに歓喜する姿を想定して付けられた。
関東以西の稲・野菜二毛作地帯は、早生の主食用米の生産が多い地域の一つ。そこでは冬春野菜の後作に栽培できる早生の「キヌヒカリ」が人気品種として定着しているが、歓喜の風は、そのキヌヒカリよりも約10%多収が期待でき、しかも高温でも玄米の外観品質の低下が少なく、炊飯米の食味が優れており、キヌヒカリに代わる品種として期待がかかる。静岡県では、良質・安定多収の良食味米として現在、約500haの普及を見込んでいる。
新しい両品種の開発にあたった同センター水田作研究領域稲育成グループの竹内義信氏によると「遺伝子レベルの固定化、つまり世代を進めながら種の更新を続け、種の安定化をめざしてきました。どちらも開発にかける労力と時間をかけた分、愛着があります。今後は広く両品種の認知度が上がり、栽培地が広がっていくことを期待しています」と語った。
○問い合わせ先:同センター企画部産学連携室
○TEL:096-242-7682
(関連記事)
・中食・外食に大きな米消費拡大の可能性【藤尾益雄(株)神明代表取締役社長】(18.02.06)
・【JA全農輸出対策部上野一彦部長に聞く】米の輸出は業務用がターゲット マーケットインで産地づくりを(18.01.31)
・30年産米生産量 全国735万t(17.12.08)
・多収でいもち病に強い「ゆみあずさ」-業務用に最適な水稲新品種を育成 農研機構とJA全農(17.11.02)
・省力化や新品種など36の研究紹介 「最新農業技術・品種2017」(17.05.17)
重要な記事
最新の記事
-
【2024年を振り返る】揺れた国の基 食と農を憂う(2)あってはならぬ 米騒動 JA松本ハイランド組合長 田中均氏2024年12月20日
-
【2025年本紙新年号】石破総理インタビュー 元日に掲載 「どうする? この国の進路」2024年12月20日
-
鳥インフルエンザ 鹿児島県で今シーズン国内15例目2024年12月20日
-
【浜矩子が斬る! 日本経済】「稼ぐ力」の本当の意味 「もうける」は後の方2024年12月20日
-
(415)年齢差の認識【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年12月20日
-
11月の消費者物価指数 生鮮食品の高騰続く2024年12月20日
-
鳥インフル 英サフォーク州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年12月20日
-
カレーパン販売個数でギネス世界記録に挑戦 協同組合ネット北海道2024年12月20日
-
【農協時論】農協の責務―組合員の声拾う事業運営をぜひ 元JA富里市常務理事 仲野隆三氏2024年12月20日
-
農林中金がバローホールディングスとポジティブ・インパクト・ファイナンスの契約締結2024年12月20日
-
「全農みんなの子ども料理教室」目黒区で開催 JA全農2024年12月20日
-
国際協同組合年目前 生協コラボInstagramキャンペーン開始 パルシステム神奈川2024年12月20日
-
「防災・災害に関する全国都道府県別意識調査2024」こくみん共済 coop〈全労済〉2024年12月20日
-
もったいないから生まれた「本鶏だし」発売から7か月で販売数2万8000パック突破 エスビー食品2024年12月20日
-
800m離れた場所の温度がわかる 中継機能搭載「ワイヤレス温度計」発売 シンワ測定2024年12月20日
-
「キユーピーパスタソース総選挙」1位は「あえるパスタソース たらこ」2024年12月20日
-
【人事異動】三井化学(2025年1月1日付)2024年12月20日
-
農業機器ユーザー向けアプリ「丸山コネクト」を無料提供開始 丸山製作所2024年12月20日
-
農産物保冷庫「ファームストッカ」FSJ-C・FSV-Cシリーズを新発売 井関農機2024年12月20日
-
保護者の負担軽減 冬休み昼食提供 北海道内各地に拡大 コープさっぽろ2024年12月20日