予約積上げで肥料価格最大3割引下げ実現2017年12月13日
・JA全農新たな共同購入運動の成果
・事前予約7万tに
・銘柄当たり生産量250tから4000tに拡大
・JAに結集し、力を発揮
JA全農は、全農自己改革の一環である「農林水産業・地域の活力創造プラン」に基づいて、肥料事業について4月から「銘柄集約による新たな共同購入」に取り組んできたが、その結果、7万tを超える予約を積み上げることに成功し、入札によりおおむね▲1~3割の価格引き下げを実現したと12月12日に公表した。
◆事前予約7万tに
この取組みは▽メーカー数・銘柄数の多さが肥料の製造・流通コストを押し上げる一因となっているため、銘柄を集約したうえで事前予約を積み上げ、入札手法によって、絞り込んだメーカーに大量発注することにより価格の引き下げを実現する。▽30年春用肥料を対象に、集約した17銘柄について、JAを通じてチラシを組合員に配布して周知したほか、農業者3団体(日本農業法人協会、全国農協青年組織協議会、全国農業青年クラブ連絡協議会)と全農による資材事業研究会でも情報を共有し、各団体の会員にも取り組みを周知して予約を積み上げてきた。
その結果、集約前には、窒素・りん酸・加里の肥料3要素うち2または3要素のみを含む化学肥料は、各成分が少しずつ異なる組合わせで約400銘柄あったが、成分構成の似通った銘柄を集約し、東北から九州の各地域ごとに6から8銘柄、全国では延べ17銘柄に集約することで、集約前の実績をほぼカバーする7万tを超える予約を積み上げることに成功。
この7万tの事前予約数量をもとにブロック毎に入札を行った結果、ブロック毎・銘柄毎に異なるが、基準価格に比べおおむね▲1~3割の価格引き下げを実現した。
◆銘柄当たり生産量250tから4000tに拡大
JA全農によれば、メーカー工場の絞り込みにより、ブロックによってはこれまで10社近いメーカーが供給していたが、各ブロックでは2~3社に、全国では従来の14社33工場から、8社13工場に集約されたという。
また、銘柄当たりの生産数量は従来の約250tから約4000tに拡大し、製造固定費の引き下げを実現した。さらに、供給範囲を全国一律からブロック単位とすることで配送コストの圧縮を行い、価格引き下げが実現した。
今後の取り組みとしては、
▽農林水産省・都道府県行政に対して、施肥基準の集約がまだ実施されていないので、引き続き施肥基準の集約について要請していく。
▽全農の購買体制については、現在、コンサルタントも入れて実態調査と検討を行っており、今後、機能統合と業務の効率化をはかり、スリム化をすすめていくことにしている。
◆JAに結集し、力を発揮
農家組合員の所得向上と生産コストの低減は「自己改革」の大きな課題だといえるが、肥料の銘柄集約・事前予約という「新たな共同購入運動」によってその課題解決への大きな一歩が踏み出されたといえるだろう。
この協同組合らしい購入運動がさらに進み、生産法人や担い手農業者を含めてすべての農業者が参加してさらなる予約積み上げを実現し、生産コストの低減につながることを期待したい。そして肥料以外の生産資材についても、農業者がJAに結集することで、同じような効果が生まれることを期待したいと思う。
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