水田農業「10aあたり」所得へ転換を-JAグループ2018年6月15日
JAグループは6月7日の理事会で「平成31年度水田農業対策等に関するJAグループの基本的考え方」を決めた。(写真はイメージ)
基本的考え方のポイントは「水田フル活用を通じた米の全体需給の安定」。そのために飼料用米、麦、大豆など戦略作物の生産など主食用米以外で水田フル活用する取り組みについての助成を恒久的に確保することが必要だとしている。この取り組みによって180万t程度の主食用米民間在庫を実現し、需給の安定と適正価格水準を維持することが必要だとしている。
ただし、予期しない豊凶変動や消費の減少に向けた対策も必要だとしている。とくに豊作時には、過剰米対策として、翌年まで販売を長期化させるための米の保管支援策として「米穀周年供給・需要拡大支援事業」が措置されているが、これを全県が活用することが必要だと提起している。
また、農業のICT化が進むなかで、精度の高い作柄予測を行い、過剰が見込まれる場合は収穫前の調整も含めて主食用を飼料用米、加工用米、輸出用米などに仕向けるといった対応について検討することが必要だとしている。
同時に主食用でも用途別の対応を重視する。家庭食向けと業務用向けのミスマッチが指摘されているが、全国農業再生推進機構による産地と中食・外食事業者とのマッチング、用途別の需給見通しなど情報の共有を図る。
産地でも「1俵あたり」の価格ではなく、交付金も含めて「10aあたり」の所得を意識して取り組みを検討し、業務用や輸出用などの生産に取り組み、低コスト生産や多収品種導入などを政策として支援することも求めていく。
今回は食料安全保障に基づく食料自給率の向上に向けた中長期的な政策確立の必要性も提起した。具体的にはグルテンフリーにも着目し、米粉の需要拡大で外国産麦から代替させていくことや、国産米油やなたね油の活用で輸入大豆に代替させていくなど。自給率向上にとっては、国産麦・大豆の生産拡大ももちろん重要になる。
また、輸出用米については生産コスト低減や付加価値を高める取り組みに政策支援が必要だと強調している。TPP11協定の発効をふまえ、これまでSBS米が業務用に使用されてきたことから、備蓄米制度の適切な運用も求めていく。
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