全国組織 「国」構成員にならずマッチング支援2017年11月24日
自民党の農業基本政策検討委員会が11月24日午前に開かれ、宮腰光寛同委員会参与は関係者が米の需給調整を主体的に行う全国組織についてのイメージを説明した。国はオブザーバーとしても構成員はならず、全国の需給見通しを情報提供するとともに、安定取引拡大支援事業を活用するなどで産地と中食・外食事業者とのマッチング支援などを行う。
30年産からの水田農業政策について宮腰参与は改めて「生産調整の廃止ではなく見直し」と強調、国による生産数量目標の配分と10aあたり7500円の直接支払い交付金は廃止するが「それ以外の国の役割は基本的に維持していく」として、今後の課題に中食・外食向けに米を安定供給していくことが重要だとした。
「しかし、国が旗振りをすることはできるが具体的なマッチングはできない」として、JAグループや実需者など事業実施主体が取り組み、国は米穀周年供給・需要拡大支援事業のなかの安定取引拡大支援事業などで支援を行うと整理した。
全中、全農、中食・外食事業者団体などを構成員とした全国組織には国はオブザーバーとしても参加しない。ただ、コメに関わる行政機関として米穀機構を構成員に加える。事務局はJAグループが担当する。
全国組織の機能は▽マーケットインに基づいて、一般家庭用と中食・外食等実需者と産地とのマッチングの支援、▽国から提供された都道府県の作付動向など需要に応じた生産に向けた情報の共有と、関係者の主体的な取り組みの促進の2つを挙げている。
マッチングの促進については全農による複数年契約など安定取引の推進や、実需者との結びつきのさらなる強化、生産者に対する買取販売の強化とあわせ、麦・大豆など戦略作物の需要に応じた生産の推進も進めていく必要性を宮腰参与は強調し「全農にもがんばってもらいたい」と述べた。
農林水産省はこの日の会合でマッチングを継続的に支援するとともに、水田活用の直接支払い交付金など水田農業関係予算について安定的な助成体系のもとで恒久的に確保していく考えを強調した。
全国組織の具体化はこれからだが、宮腰参与は「年内立ち上げて早急に取り組みを行ってほしい」と期待した。
会合では中食・外食が積極的にマッチングと産地との安定取引に関わることが重要との指摘が出て、農水省の柄澤彰政策統括官は「ぜひニーズを産地側に伝えてほしいと呼びかけている。中食・外食を起爆剤にしてコメの需要を増やしていきたい」と話した。
会合では7500円の直接支払いが廃止されることについて「財源をコメ農家に還元してほしいという声がある」との指摘も出たが、宮腰参与は水田農業対策予算が29年度にくらべて30年度は水田活用の直接支払交付金要求で154億円増額要求、収入保険制度の創設に530億円など、合わせて900億円近くを要求しているとして、それらがコメ農家に還元されると説明した。過剰作付けの解消で米価が26年産にくらべて60kg3500円上昇し全銘柄平均で1万5000円台となっていることも背景にある。
なお、全国組織の構成員は全中、全農、米穀機構、集荷業者団体、米穀卸売業者団体、外食・中食事業者団体、輸出事業者団体、飼料需要者団体、加工食品事業者団体、麦需要者団体、大豆需要者団体などとなっている。
(関連記事)
・600人が与党と対話集会 米の生産調整「30年問題」で(17.11.23)
・農業を夢のある世界に 米の需要を拡大する【藤尾 益雄(株)神明代表取締役社長】(17.11.20)
・30年産の価格が分かる「コメ先物市場」(17.11.06)
・【米生産・流通最前線2017】木徳神糧(株) 三澤専務に聞く 29年産米の概算金と流通(17.09.22)
・【緊急調査・29年産米の作柄見込みと30年産米の課題】主要219JAのコメ担当者の声【東北】(17.09.21)
・【米生産・流通最前線2017】30年産問題ーどんなコメ「需要」に応えるのか?(17.08.07)
重要な記事
最新の記事
-
「農業者のための農協」貫く(2)JAみっかび組合長 井口義朗氏【未来視座 JAトップインタビュー】2025年3月4日
-
政府備蓄米売り渡し 2回目入札6万t 速やかに準備を 江藤農相指示2025年3月4日
-
創刊100周年 第66回全国家の光大会レポート2025年3月4日
-
7年産主食用米高騰の弊害を考える【熊野孝文・米マーケット情報】2025年3月4日
-
「JA全農杯全国小学生選抜サッカー大会」東北代表チーム決定 優勝は「Renuovens Ogasa FCジュニア」2025年3月4日
-
「JA全農杯全国小学生選抜サッカー大会」関西代表チームが決定 優勝は「ヴィッセル神戸U-12」2025年3月4日
-
【人事異動】全農(4月1日付)2025年3月4日
-
【人事異動】全農(4月1日付)2025年3月4日
-
造粒加工適性が大事 肥料メーカーからみた原料堆肥との向き合い方2025年3月4日
-
ベランダで米づくり「バケツ稲づくり」個人申し込み受付開始 JAグループ2025年3月4日
-
光選別機「ペレットソーターII」新発売 サタケ2025年3月4日
-
圃場登録機能を搭載した新型自動操舵システム「コムナビAG501」発売 HOSAC2025年3月4日
-
消費と生産をつなぐ生協の実践を報告「有機野菜技術フォーラム」登壇 パルシステム2025年3月4日
-
飼料メーカー専用品「マイクロライフ プライム」発売 東亜薬品工業2025年3月4日
-
牛乳にまつわる話だけのSNS漫画雑誌『週刊土日ミルク』第2号発行 Jミルク2025年3月4日
-
宇宙×園芸の未来を拓く「千葉大学宇宙園芸国際ワークショップ2025」開催2025年3月4日
-
鳥インフル 米ニュージャージー州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年3月4日
-
高校生が森・川・海の「名人」を取材「第23回聞き書き甲子園」優秀作品を決定2025年3月4日
-
香港向け家きん由来製品 茨城県からの輸出再開 農水省2025年3月4日
-
プラントベース「ナチュレ 恵 megumi 植物生まれ」リニューアル 雪印メグミルク2025年3月4日