本物の「八丁味噌」は? GI登録で不服審査請求2018年3月19日
・岡崎市(愛知)の老舗
地理的表示(GI)保護制度で登録された愛知県の「八丁味噌」について、不服審査請求の申し立てが出た。昨年末に登録された愛知県味噌溜醤油工業協同組合の「八丁味噌」に対して、岡崎市の老舗2社などでつくる八丁味噌協同組合が、登録を不当として3月14日、農水省に不服審査請求した。同組合は「味噌の製造法、生産地域も異なり、消費者を混乱させる」として、登録を見直すように求めた。GI登録を巡るトラブルは初めて。
「八丁味噌」は、愛知県の岡崎市が発祥の地で、審査請求した老舗2社の「合資会社八丁味噌」と、「株式会社まるや八丁味噌」も同市にある。GI保護制度ができて同組合は、岡崎市八帖町を生産地とする登録申請したが、生産地域の範囲などで農水省との調整ができず、平成29年6月登録申請を取り下げた。一方で、少し遅れて、愛知県全域を生産地として登録申請した愛知県味噌溜醤油協同組合(名古屋市)の「八丁味噌」は、昨年12月に登録が認められた。
八丁味噌協同組合がこだわるのは、「八丁味噌」の製法と生産地。大豆と塩、それに水しか使わず、自然石の重石を載せた木樽で2年以上仕込むという、江戸時代から続く、製法を守っている。また、愛知県が「八丁味噌」を地域産業資源として指定するとともに、生産に関わる地域として岡崎市のみを指定していることを挙げ、「産地も生産方法もまったく異なる愛知県味噌溜醤油協同組合の申請にかかる味噌を『八丁味噌』として登録することは、取引業者および消費者に多大な混乱をもたらすものであり、不合理である」(3月14日の記者会見で同協同組合・早川久右衛門理事長)と、是正を求めた。
現在59産品がGI登録されている。登録の始まった平成27年以来、申請が相次ぎ、地域産品の食品の販売戦略の武器になっている。しかし、歴史のある地域産品は名称が一般化しており、地域、生産者を特定することが難しくなっているものも少なくない。フランス、イタリアの地理的表示保護制度には長い歴史があり、せっかくの地域ブランドの評価を落とさないためにも拙速を避け、申請にあたっては十分な事前の調査と調整が求められる。
(関連記事)
・「水戸の柔甘ねぎ」GI登録 生産部会が栽培・品質管理 JA水戸(18.02.08)
・日EU・EPA妥結でGIの取扱説明会(18.01.10)
・日欧EPA協定のGI保護-「パルメザン」は対象外(17.12.20)
・入善ジャンボ西瓜など地理的表示(GI)に新たに10品目(17.12.19)←
・イタリアの産品が初登録-地理的表示(GI)(17.09.19)
・幕張で地理的表示(GI)フェス開催 農水省・JTB西日本(17.09.13)
重要な記事
最新の記事
-
米農家(個人経営体)の「時給」63円 23年、農業経営統計調査(確報)から試算 所得補償の必要性示唆2025年4月2日
-
移植水稲の初期病害虫防除 IPM防除核に環境に優しく(1)【サステナ防除のすすめ2025】2025年4月2日
-
移植水稲の初期病害虫防除 IPM防除核に環境に優しく(2)【サステナ防除のすすめ2025】2025年4月2日
-
変革恐れずチャレンジを JA共済連入会式2025年4月2日
-
「令和の百姓一揆」と「正念場」【小松泰信・地方の眼力】2025年4月2日
-
JAみやざき 中央会、信連、経済連を統合 4月1日2025年4月2日
-
サステナブルな取組を発信「第2回みどり戦略学生チャレンジ」参加登録開始 農水省2025年4月2日
-
JA全農×不二家「ニッポンエール パレッティエ(レモンタルト)」新発売2025年4月2日
-
姿かたちは美しく味はピカイチ 砂地のやわらかさがおいしさの秘密 JAあいち中央2025年4月2日
-
県産コシヒカリとわかめ使った「非常時持出米」 防災備蓄はもちろん、キャンプやピクニックにも JAみえきた2025年4月2日
-
霊峰・早池峰の恵みが熟成 ワイン「五月長根」は神秘の味わい JA全農いわて2025年4月2日
-
JA農業機械大展示会 6月27、28日にツインメッセ静岡で開催 静岡県下農業協同組合と静岡県経済農業協同組合連合会2025年4月2日
-
【役員人事】農林中金全共連アセットマネジメント(4月1日付)2025年4月2日
-
【人事異動】JA全中(4月1日付)2025年4月2日
-
【スマート農業の風】(13)ロボット農機の運用は農業を救えるのか2025年4月2日
-
外食市場調査2月度 市場規模は2939億円 2か月連続で9割台に回復2025年4月2日
-
JAグループによる起業家育成プログラム「GROW&BLOOM」第2期募集開始 あぐラボ2025年4月2日
-
「八百結びの作物」が「マタニティフード認定」取得 壌結合同会社2025年4月2日
-
全国産直食材アワードを発表 消費者の高評価を受けた生産者を選出 「産直アウル」2025年4月2日
-
九州農業ウィーク(ジェイアグリ九州)5月28~30日に開催 RXジャパン2025年4月2日